キミのこと、好きでいてもいいですか?
︎︎︎︎6. どきどきバレンタイン
3学期の始業式から2週間が過ぎた、ある日の休み時間。
「うわ、それマジ!?」
廊下のほうから聞こえてきたよく響く声に反応し、私がそちらに目をやると。
千葉くんが、友達と笑い合いながら歩いているのが見えた。
千葉くん、楽しそうだなぁ。
今の私の席は廊下側の一番後ろのため、無意識に開いたドアのほうを見てしまう。
……あっ。
すると、ふいにこちらを向いた千葉くんと目が合ってしまった。
「橘!」
私に気づいた千葉くんが教室のドアの前で立ち止まり、私に向かって手を振ってくれた。
そんな彼に私も微笑みながら、ひらひらと手を振り返す。
こんなちょっとしたやり取りでも、私の胸はすぐに幸せな気持ちでいっぱいになる。
「ちょっとちょっと〜。おふたりさん、随分と仲が良いですねえ」
私たちのことを見ていた香菜が、ニヤニヤ顔で言ってくる。