キミのこと、好きでいてもいいですか?
「ねえ。今年のバレンタイン、どうする?」
「わたしは、思いきって手作りしちゃおうかな」
香菜に言われて、ふと教室を見渡してみると。
クラスの女子たちが、もうすぐ訪れるバレンタインの話題で盛り上がっていた。
「美桜はもちろん、千葉くんにあげるんでしょう?」
「え? わっ、私!? 私は、特にチョコをあげるつもりはない……かな」
「ええ!?」
信じられないというような顔をする香菜。
「だって、あげるも何も。私は、千葉くんにもうとっくに振られちゃってるから。それに……千葉くんとは、最近友達になったばかりだし」
「もう、美桜ったら何を言ってるの?!」
香菜が、私の肩をバシンとはたいた。
「痛〜い」
「だから、チャンスなのよ!」
「へ、チャンス?」
はて、と私は首を傾ける。
「今は友達だから、表面上は『友チョコ』と言って、千葉くんに本命チョコを渡せるじゃないの!」
「ああ……!」
そっか。その手があった。
「振られたって言っても、美桜は……まだ好きなんでしょう? 千葉くんのこと」