キミのこと、好きでいてもいいですか?

「ということで、はいっ!」


香菜から笑顔で渡されたのは、チョコレートのレシピ本。


「美桜に、それ貸してあげる」

「あっ、ありがとう」


香菜ってば、いつの間に本なんて持ってたの?


せっかくなのでレシピ本のページをパラパラとめくってみると、生チョコにガトーショコラ、マフィンと様々なレシピが載っている。


うわぁ、どれも美味しそう。


私は、ゴクリと唾を飲み込む。


あれ? でも、私にこの本を貸してくれるってことは……。


「ねぇ、もしかして香菜も昔誰かに手作りチョコをあげたことがあるの?」

「えっ、えぇ!? なっ、ないけど? ていうかそれ、あたしのお姉ちゃんの本だからっ」

「へぇ、そうなんだ」


香菜にしては、珍しく慌てふためいている。


……これはたぶん、誰かにチョコを手作りしたことがあるな。

そう思ったけれど、今は触れないでおこう。


「あっ、あたしの話は良いから。美桜、ちゃんとそれ見て手作りするんだよ?」

「分かった。頑張ってみる」
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