キミのこと、好きでいてもいいですか?
「美桜。ほら、早く千葉くんに声かけて渡しなよ」
「うっ、うん」
ドキドキ、ドキドキ。
私の心臓が、これでもかってくらいに暴れ出す。
いつも学校で会ったとき、声をかけてくれるのは千葉くんからのことがほとんどだから。
千葉くんにいざ渡すとなると、やっぱり緊張する〜。
でも、頑張って渡さなくちゃ。
渡さないと、私のこれまでの努力が全て水の泡になってしまう。
「ち、千葉く……」
「あっ! 春翔くん、おはよう〜!」
勇気を出して発した私の声は、別の女の子の大きな声によってかき消されてしまった。
「ねぇ、春翔くん……これ受け取ってくれる?」
頬をピンク色に染めた同じ1年生の女の子が、千葉くんにラッピングされた青い箱を渡した。
「ああ、ありがとう」
あの子、千葉くんに受け取ってもらえたんだ。いいなぁ。
羨ましいのと同時に、好きな人が他の女の子からチョコを受け取る姿を間近で見て何だか悲しくなる。