キミのこと、好きでいてもいいですか?
ズキンッ。
うそ。千葉くんって好きな子がいるんだ……。
私が、彼から直接言われたわけじゃないのに。
初めて知る事実に、胸がズキズキと痛い。
持っていたスポーツドリンクが手の中から抜け落ち、廊下を転がっていく。
コロコロ、コロコロ。
廊下を転がっていくペットボトルを、早く拾いに行かなきゃいけないのに。
『好きな子がいる』
千葉くんの言葉が、さっきからずっと頭をぐるぐる回って離れない。
──ガラガラ。
「あれ? 橘?」
私がすぐに動けずにいると、空き教室の扉が開いて千葉くんが出てきた。
ま、まずい……!
「どうしたんだよ、こんなところで」
「えっと……」
「もしかして橘、今の話……聞いてた?」