キミのこと、好きでいてもいいですか?
でも、私……このまま家に帰って本当に良いの?
せっかく作ってきたお弁当を渡さずに帰って、あとで後悔しない?
歩きかけた足を止めて、私は自分に問いかける。
このまま何もせずに、家に帰ってしまったら……私は、去年までと何ひとつ変わっていない。
去年までの、ただ遠くから千葉くんのことを見ているだけだった私と一緒だ。
1年の頃はいくら千葉くんとクラスが違ったとはいえ、何もせずに彼のことを黙って見ていることしかしなかったから。
勇気を出して千葉くんに告白したときも、『俺、橘さんのことは正直よく知らなくて』って言われちゃったんだ。
今は、高校2年生になったんだから。少しでも変わりたい。
だったら……勇気を出すんだ、私!
私は方向転換すると、ファンの女の子たちに囲まれている千葉くんの元へと一目散に駆けていく。
「あっ、あの……千葉くん!」