キミのこと、好きでいてもいいですか?

震える声で、なんとか話しかけてみたものの。


「春翔くん、試合頑張ってね」

「アタシたち、応援してるー!」


千葉くんの姿が見えないくらいに、彼の周りにはたくさん女の子がいて。


何より私の声が小さかったからか、千葉くんには届いていないみたい。


私は、手のひらをギュッと握りしめる。


一度やってダメなら、もう一回!


スーハーと深呼吸して、今度はお腹の底から声を出す。


「あのっ。千葉くん、おはようっ!!」


自分が今出せる限りの大声を出したからか、サッカー部の人だけでなく、千葉くんファンの子たちまで、みんなが一斉にこちらを向いた。


う……。そんなにみんなに見られたら、ちょっと恥ずかしいかも。


「ああ、びっくりした〜」

「ちょっと、そんな急に大きな声出さないでよ」


ひいいっ。複数の千葉くんファンの子たちに思いきり睨まれて、私は身震いする。


「ご、ごめんなさい……」


私はしゅんとして、うつむいてしまう。


「橘っ!」


名前を呼ばれて顔を上げると。


……え。


千葉くんがファンの子たちをかき分けて、こちらへと駆けて来るのが見えた。
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