キミのこと、好きでいてもいいですか?

「……もうすぐ20時だから。そろそろ、河川敷のほうへ行くか?」


みんなで屋台を楽しんでいるうちに、花火の開始時刻が迫ってきた。


千葉くんの一言で、花火が打ち上げられる河川敷へと移動することに。


4人で仲良く話しながら歩いていると。


「あれ……? もしかして春翔くん?」


背後から、おっとりとした声がした。


「杏果!?」

「西野ちゃん!」


後ろを振り返った千葉くんと永倉くんが、驚いた声を出す。


なんとそこには、淡いピンク色の浴衣を着た、サッカー部のマネージャーである杏果ちゃんが立っていた。

黄色い帯がピンクの浴衣のアクセントになっていて、すごく可愛い。


「春翔くんだけでなく、永倉くんもいる! わぁ、橘さんたちもみんな浴衣だー」


杏果ちゃんのトレードマークとも言えるお団子ヘアは、浴衣を着ている今日も健在だ。


「杏果も、ここの花火見に来たのか?」

「うん。わたし、ここの近くに住んでるから」

「へえ。つーか浴衣姿の西野ちゃん、超可愛いーッ」


千葉くんと永倉くんが、杏果ちゃんとワイワイ楽しそうに話している。


「春翔くんたち、今日はクラスの子と夏祭りなんだ?」

「ああ。そうだよ」

「わたし、春翔くんたちにちょっとお願いがあるんだけど……」


お願いと言いながら、モジモジとする杏果ちゃんに私は何となく嫌な予感がする。
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