キミのこと、好きでいてもいいですか?

私は目線を、手元の溶けかけたかき氷へと移す。

かき氷をスプーンで崩す、シャリシャリとした音が響く。


「美桜。マンゴー、ひとくちちょうだい?」

「良いよ」


香菜と、お互いのかき氷をシェアする。


「香菜の抹茶も美味しいね」

「でしょー?」


かき氷は、甘くて美味しい。熱くなっていた体を、徐々に冷やしていってくれる。


それと同時に、頭がキーンと痛む。


真っ直ぐ前を向くと、どうしても千葉くんと杏果ちゃん二人の姿が嫌でも目に入る。


だから私は、無意識に下を向く。


キンキン、キンキン。


先ほどから頭痛がするのは、かき氷を食べているから? それとも……。


──ヒューッドーーン!


「わぁー!」

「たーまやー」


周囲で次々と、拍手や歓声があがる。


どうやら、花火大会が始まったらしい。
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