【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第10話
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)
時は、10月17日の正午であった。
またところ変わって、信包《のぶかね》が勤務しているリサイクル工場にて…
工場の構内に、正午《ひる》やすみを知らせるサイレンが鳴り響いた。
工場の従業員さんたちは、ランチを摂るために休憩室へ向かった。
信包《のぶかね》が足早に工場から出ようとした時であった。
大きなとうのかごを持った里英《りえ》が信包《のぶかね》に会いに来た。
「信包《のぶかね》〜♪」
里英《りえ》は、ウキウキした表情で信包《のぶかね》を呼んだ。
信包《のぶかね》は、うんざりした表情で里英《りえ》に言うた。
「なんで来たのだよ!!」
「なんでって、アタシは信包《のぶかね》と一緒にお弁当を食べるために来たのよ。」
「オレは頼んでないよ!!」
「アタシは、信包《のぶかね》が大好きだから一緒にランチを摂りたいのよ…きょうはいいことがあったからウキウキしているのよ〜」
「言うてる意味が分からないよ!!」
「そんなことよりも、一緒にランチを食べようよ〜」
このあと、里英《りえ》は信包《のぶかね》を連れて構内にある藤だなへ行った。
ところ変わって、構内にある藤だなにて…
里英《りえ》は、大きなバスケットの中からお弁当を取り出したあとテーブルの上にならべた。
信包《のぶかね》は、めんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「里英《りえ》!!」
「なあに♪」
「お前、いいかげんにしろよ!!」
「なんでそんなに怒るのよ?」
「お前、ダンナがいるのにこんなことしていいのかよ!?」
「アタシはダンナが大キライだからリコンしたのよ〜」
里英《りえ》から話を聞いた信包《のぶかね》は、おどろいた声で『リコンした?』と言うた。
里英《りえ》は、のんきな声で『うん♪』と言うたあとダンナとリコンしたわけを説明した。
「アタシは、ダンナがどうしてもと言うたから仕方なく結婚しただけよ~」
「なんでダンナとイヤイヤ結婚したのだ!?」
「だから、職場の上司《ハゲ》が『君もいい年だから〜』と言うたから仕方なく結婚したのよ〜」
「なんでイヤと言わなかった!?」
「イヤと言うたわよ…だけど…そのあと、上司《ハゲ》からいやがらせを受けたのよ~」
「それでダンナとイヤイヤ結婚したのか?」
「そうよ。」
「お前は、ダンナのどう言うところがキライなのだ!?」
「決まっているわよ…でかいのはズウタイだけで、自立心がまったくないドサイテー男よ。」
「ドサイテー男って?」
「そうね…結婚しても親きょうだいと同居しているイソン男よ。」
「イソン男?」
「そうよ…ダンナは親きょうだいたちと離れて暮らすのはイヤだと言うたのよ…それに…ダンナのお給料はお小遣い以下だから、もっとダメ男よ…ネンシュー800万円と言うたからお見合いして結婚したけど…手取りはたった800円よ。」
「おい!!それは本当か!?」
「ほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうに800円よ!!」
「だけどな…」
「手取りは15万6800円だけど、義母が食費で15万6000円取ってるのよ…それで残りは800円しかないのよ…たまったものじゃないわよ…義母は食費だと言うてるけど、ウソに決まっているわよ!!」
「里英《りえ》!!」
「義父は義父で、アタシが着ている下着が入っているクローゼットを荒らしたのよ!!…義父は社会的地位のある人と言うたけど大ウソよ!!」
「だからそれはほんとうのことか!?」
「ほんとうの話よ!!義父はダンナの前の嫁をレイプしたのよ!!アタシも義父からレイプされたのよ!!」
「もうやめろよ!!…だからお前はダンナとリコンしたと言うのだろ!!」
「そうよ…」
このあと、里英《りえ》はリコンしたダンナの悪口をズタズタに言いまくった。
「アタシは、ダンナに対して一方的にリコン届けを突きつけたのよ…だけど…ダンナは『イヤだ!!』と言うてダダをこねた…だからアタシは、平手打ちでダンナの顔を叩いた…」
「お前は、力でダンナを押さえつけたのか!?」
「ダンナは押さえつけないと言うことを聞かないのよ!!」
「お前、いくらなんでもやりすぎだぞ!!」
「アタシは、ダンナが大キライだからダンナをたたいたのよ…」
「おいやめろ!!」
「アタシは、大好きな信包《のぶかね》とサイコンしたいからダンナとリコンしたのよ…信包《のぶかね》、小さい時を思い出してよ…」
「小さい時って…」
「一緒におままごとしたじゃない…」
「ふざけるななよ!!」
「信包《のぶかね》、信包《のぶかね》は今でも里英《りえ》が好きなのでしょ…」
「それは…お友だちとしてだよ。」
「それだけ?」
「他になにがあると言うのだよ!?」
「だから…本気で好きと言う気持ちはないの!?」
「だから、なにが言いたいのだ!?」
「小4の時を思い出してよ!!」
「小4の時って?」
「アタシが他の男の子たちと遊んでいた時に信包《のぶかね》が男の子たちに殴りかかったじゃないのよ!!あれはどう言うことよ!?」
「どう言うことよって?」
「信包《のぶかね》は、アタシのことが好きなのでしょ!!」
「だから、お友だちとして好きだよ…」
「そんなのイヤ!!」
「里英《りえ》…」
「ひとりの女として好きと言うてよ!!」
全くもう(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)
信包《のぶかね》は、ものすごくめんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「好きだよ…ひとりの女として好きだよ…好きだと言えばいいんだろ!!」
里英《りえ》は、ニコニコ顔で信包《のぶかね》に言うた。
「じゃあ、指切りげんまんしよ♪」
「里英《りえ》〜」
里英《りえ》は、右の小指で信包《のぶかね》の左の小指をからめたあと指切りげんまんのヤクソクをした。
信包《のぶかね》と指切りげんまんのヤクソクをした里英《りえ》は、信包《のぶかね》とサイコンできると言うてよろこんだ。
しかし、里英《りえ》が信包《のぶかね》とサイコンするという話を通りかかった人の耳に入ったので大ゴトになったようだ。
時は、午後3時頃であった。
またところ変わって、JRとめいてつと地下鉄の金山駅の南東よりにあるイオンモールにて…
里英《りえ》は、モール内にあるイオンスタイルの食品売り場で買い出しをしていた。
里英《りえ》は、鼻歌を歌いながら明日のお弁当を作る食材をカートに入れていた。
買い出しを終えた里英《りえ》は、セルフレジで順番待ちをしていた。
この時、里英《りえ》がいた場所から2メートル先の場所で奥さま同士が立ち話をしていた。
ふたりの奥さまは、声をひそめながら話をしていた。
「ちょいと奥さま〜」
「なによ~」
「あれ、今江のおくさまよ。」
「今江のおくさまがどうかしたの?」
「おくさま、今江の奥さまがダンナとリコンしたみたいよ。」
「リコン?」
「あんた知らんかったん…今江の奥さまは、ダンナが大キライだからリコンしたのよ~」
「ダンナが大キライだからリコンしたって?」
「だから、今江の奥さまは大好きな人と結婚したいからダンナとリコンしたのよ…」
「今江の奥さまは、ダンナのどう言う部分がキライなのよ?」
「だから、結婚しても親きょうだいと同居しているイソン魔だから大キライと言うたのよ〜」
「ますますわけが分からなくなったわ〜」
「あっ、ここだけの話だけど…今江の奥さまが天白区《テンハク》のリサイクル工場で働いている大好きな人のもとへお弁当を持って行ってるみたいよ。」
「ほんとうなの?」
「ほんとうにほんとうよ…それでね…今江の奥さまが大好きな人と指切りげんまんしたのよ…指切りげんまんしてサイコンするヤクソクを取りつけたみたいよ。」
「ウソでしょ…」
「ほんとうよ…今江のおくさまは、どこのどこまでイヤな人かしらねぇ…」
「それで、今江の奥さまが大好きな人って、だれ?」
「そうね…松城町の立浪《たつなみ》の家の次男坊よ。」
「ええ!!ミテジマ商事の営業の課長さんの次男坊って…」
「今江の奥さまはふざけてるわよ!!」
「そうよね〜」
「近くに今江の奥さまがいるわよ。」
「なんなのよ…イヤな女ね~」
「ほんとほんと…」
「立浪のご主人もご主人よ…ご主人がなさけないジジイだから息子さんたちにお嫁さんが来ないのよ~」
「そうよね〜」
この時であった。
近くにいた里英《りえ》が両手で顔をふさいだあと走って逃げ出した。
食材が入っているカートは、その場に放置された。
奥さまふたりは、このあとも里英《りえ》の悪口をズタズタに言いまくった。
時は、夕方6時半頃であった。
またところ変わって、半兵衛《はんべえ》の家族たちが暮らしている家にて…
家の食卓に半兵衛《はんべえ》と信包《のぶかね》と君枝《きみえ》と真央《まお》の4人がいた。
テーブルの上には、ものが置かれていなかった。
この日、真央《まお》が料理をする気がないので晩ごはんを作らなかった。
真央《まお》は、熱田区にあるイオンモールへ買い物に行ってた奥さまから信包《のぶかね》と里英《りえ》がミッカイしていたことを聞いたのでショックを受けていたと思う。
信包《のぶかね》は『おぼえてない!!』と言うたあと里英《りえ》が一方的に思いをつのらせているだけど言うた。
信包《のぶかね》から話を聞いた君枝《きみえ》は、困った声で言うた。
「よく分かったわよ…あんたは、里英《りえ》さんと結婚する気はないのね。」
「ねえよ!!里英《りえ》は…たのんでもいないのに、勝手に来ただけだ!!」
「分かったわ…」
ものすごくつらい表情を浮かべている信包《のぶかね》は、席を立ったあと怒った声で言うた。
「外へのみに行く!!うちにいたらむしゃくしゃするのだよ!!」
このあと、信包《のぶかね》は家から出たあと外へのみに行った。
それから1分後であった。
君枝《きみえ》は、1枚の書面をテーブルにのせたあと右手に作った握りこぶしでテーブルをドスーンとたたいた。
半兵衛《はんべえ》は、ひどくおびえまくった。
君枝《きみえ》は、ものすごく怒った声で半兵衛《はんべえ》を怒鳴りつけた。
「おとーさん!!」
「なんだよぉ〜」
「今回の問題は、おとーさんにも原因があるのよ!!」
「ワシになんの落ち度があると言うのだ〜」
「落ち度があるから殴ったのよ!!」
「君枝《きみえ》〜」
「甘えた声で言うな!!」
「君枝《きみえ》…わしはおだやかに話がしたいのだよ〜」
「おだやかに話せるジョウキョウじゃないわよ!!…おとなりの奥さまからことの次第を聞いたとき…アタシは、ものすごくはずかしい思いをしたのよ!!」
「君枝《きみえ》〜」
「ああ!!イライラするわね!!なさけない声を出すなクソジジイ!!」
(ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!)
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、右手に作った握りこぶしでテーブルを激しく殴りつけた。
その後、君枝《きみえ》はよりするどい目つきで半兵衛《はんべえ》をにらみつけながら言うた。
「おとーさん…この際だから言わせてもらうけど…信孝《のぶたか》と信包《のぶかね》はお嫁さんはいるの!?いらないの!?」
半兵衛《はんべえ》は、おびえながら答えた。
「いる…いる…だけど…身の丈に合う相手《おあいて》が近くに…」
「そのセリフは聞きあきたわよ!!…『身の丈に合う相手《おあいて》がいない…』と言うて悩んでばかりいるから前に進むことができないのよ!!」
「それじゃあ、どうしたらいいのだよ?」
「おとーさんとおかーさんが神任せにしていたからゴエンが逃げたのよ!!」
「神さまにお任せするしかないのに…」
「もういいわよ!!」
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、テーブルに置かれていた書面を手にしたあと半兵衛《はんべえ》を怒鳴りつけた。
「今度の週末に、栄の東急ホテルで親同士によるダイリコンカツのイベントがあるのよ…それをもうしこもうと思ったけど、やめるわよ!!」
「やめるってどう言うことだ!?」
「おとーさんとおかーさんが神さまに任せると言うて悩んでばかりいたからよ!!」
「やめないでくれ〜…申し込む…申し込む…」
「もう遅いわよ!!」
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、ダイリコンカツのイベントの申し込み用紙にチャッカマンでつけた火であぶった。
火がついた申し込み用紙は、テーブルに置かれているアルミの容器《ボール》の中で燃えて灰になった。
その後、君枝《きみえ》はものすごく怒った声で半兵衛《はんべえ》に言うた。
「おとーさん!!」
「なんだよぉ〜」
「いまからおとーさんにお知らせがあります!!」
「お知らせって、なんだよぉ〜」
「うち…3日前にダンナとリコンしました。」
「リコン!!」
「そうよ…理由はひとつよ…ダンナが大キライだからリコンしました~」
「ダンナが大キライだからリコンしたとはどう言うことだ!?」
「大キライだからリコンしたのよ!!それのどこがいかんのよ!?」
君枝《きみえ》は、するどい目つきで半兵衛《はんべえ》をにらみつけながら言うた。
「さらにお知らせがもう一つあります…まりよは…1年前によその大学の男子学生から集団レイプの被害を受けました…それが原因で…短大をやめました…それともうひとり…うちは、ダンナとリコンしたあと大好きな人とサイコンすることを決めました…相手は…神戸にある海運会社のオンゾウシです…きのう…オンゾウシからプロポーズされました。」
「それ以上は言わないでくれ〜」
「もう遅いわよ!!…そういうことで、明日の朝…ここを出ます…まりよも連れていきます…明日の朝、引越屋さんが来るので…早く寝ます…まりよ…おいで…」
このあと、君枝《きみえ》はまりよを連れて部屋に入った。
君枝《きみえ》からズタズタに言われた半兵衛《はんべえ》は、おたつきまくった。
その翌朝であった。
君枝《きみえ》とまりよは、ほんとうに家から出て行った。
同時に、君枝《きみえ》とまりよが使っていた家財道具が家から運び出された。
君枝《きみえ》とまりよは、神戸へ行くと言うて家から出たあとそれっきりになった。
時は、10月17日の正午であった。
またところ変わって、信包《のぶかね》が勤務しているリサイクル工場にて…
工場の構内に、正午《ひる》やすみを知らせるサイレンが鳴り響いた。
工場の従業員さんたちは、ランチを摂るために休憩室へ向かった。
信包《のぶかね》が足早に工場から出ようとした時であった。
大きなとうのかごを持った里英《りえ》が信包《のぶかね》に会いに来た。
「信包《のぶかね》〜♪」
里英《りえ》は、ウキウキした表情で信包《のぶかね》を呼んだ。
信包《のぶかね》は、うんざりした表情で里英《りえ》に言うた。
「なんで来たのだよ!!」
「なんでって、アタシは信包《のぶかね》と一緒にお弁当を食べるために来たのよ。」
「オレは頼んでないよ!!」
「アタシは、信包《のぶかね》が大好きだから一緒にランチを摂りたいのよ…きょうはいいことがあったからウキウキしているのよ〜」
「言うてる意味が分からないよ!!」
「そんなことよりも、一緒にランチを食べようよ〜」
このあと、里英《りえ》は信包《のぶかね》を連れて構内にある藤だなへ行った。
ところ変わって、構内にある藤だなにて…
里英《りえ》は、大きなバスケットの中からお弁当を取り出したあとテーブルの上にならべた。
信包《のぶかね》は、めんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「里英《りえ》!!」
「なあに♪」
「お前、いいかげんにしろよ!!」
「なんでそんなに怒るのよ?」
「お前、ダンナがいるのにこんなことしていいのかよ!?」
「アタシはダンナが大キライだからリコンしたのよ〜」
里英《りえ》から話を聞いた信包《のぶかね》は、おどろいた声で『リコンした?』と言うた。
里英《りえ》は、のんきな声で『うん♪』と言うたあとダンナとリコンしたわけを説明した。
「アタシは、ダンナがどうしてもと言うたから仕方なく結婚しただけよ~」
「なんでダンナとイヤイヤ結婚したのだ!?」
「だから、職場の上司《ハゲ》が『君もいい年だから〜』と言うたから仕方なく結婚したのよ〜」
「なんでイヤと言わなかった!?」
「イヤと言うたわよ…だけど…そのあと、上司《ハゲ》からいやがらせを受けたのよ~」
「それでダンナとイヤイヤ結婚したのか?」
「そうよ。」
「お前は、ダンナのどう言うところがキライなのだ!?」
「決まっているわよ…でかいのはズウタイだけで、自立心がまったくないドサイテー男よ。」
「ドサイテー男って?」
「そうね…結婚しても親きょうだいと同居しているイソン男よ。」
「イソン男?」
「そうよ…ダンナは親きょうだいたちと離れて暮らすのはイヤだと言うたのよ…それに…ダンナのお給料はお小遣い以下だから、もっとダメ男よ…ネンシュー800万円と言うたからお見合いして結婚したけど…手取りはたった800円よ。」
「おい!!それは本当か!?」
「ほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうにほんとうに800円よ!!」
「だけどな…」
「手取りは15万6800円だけど、義母が食費で15万6000円取ってるのよ…それで残りは800円しかないのよ…たまったものじゃないわよ…義母は食費だと言うてるけど、ウソに決まっているわよ!!」
「里英《りえ》!!」
「義父は義父で、アタシが着ている下着が入っているクローゼットを荒らしたのよ!!…義父は社会的地位のある人と言うたけど大ウソよ!!」
「だからそれはほんとうのことか!?」
「ほんとうの話よ!!義父はダンナの前の嫁をレイプしたのよ!!アタシも義父からレイプされたのよ!!」
「もうやめろよ!!…だからお前はダンナとリコンしたと言うのだろ!!」
「そうよ…」
このあと、里英《りえ》はリコンしたダンナの悪口をズタズタに言いまくった。
「アタシは、ダンナに対して一方的にリコン届けを突きつけたのよ…だけど…ダンナは『イヤだ!!』と言うてダダをこねた…だからアタシは、平手打ちでダンナの顔を叩いた…」
「お前は、力でダンナを押さえつけたのか!?」
「ダンナは押さえつけないと言うことを聞かないのよ!!」
「お前、いくらなんでもやりすぎだぞ!!」
「アタシは、ダンナが大キライだからダンナをたたいたのよ…」
「おいやめろ!!」
「アタシは、大好きな信包《のぶかね》とサイコンしたいからダンナとリコンしたのよ…信包《のぶかね》、小さい時を思い出してよ…」
「小さい時って…」
「一緒におままごとしたじゃない…」
「ふざけるななよ!!」
「信包《のぶかね》、信包《のぶかね》は今でも里英《りえ》が好きなのでしょ…」
「それは…お友だちとしてだよ。」
「それだけ?」
「他になにがあると言うのだよ!?」
「だから…本気で好きと言う気持ちはないの!?」
「だから、なにが言いたいのだ!?」
「小4の時を思い出してよ!!」
「小4の時って?」
「アタシが他の男の子たちと遊んでいた時に信包《のぶかね》が男の子たちに殴りかかったじゃないのよ!!あれはどう言うことよ!?」
「どう言うことよって?」
「信包《のぶかね》は、アタシのことが好きなのでしょ!!」
「だから、お友だちとして好きだよ…」
「そんなのイヤ!!」
「里英《りえ》…」
「ひとりの女として好きと言うてよ!!」
全くもう(ブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツブツ…)
信包《のぶかね》は、ものすごくめんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「好きだよ…ひとりの女として好きだよ…好きだと言えばいいんだろ!!」
里英《りえ》は、ニコニコ顔で信包《のぶかね》に言うた。
「じゃあ、指切りげんまんしよ♪」
「里英《りえ》〜」
里英《りえ》は、右の小指で信包《のぶかね》の左の小指をからめたあと指切りげんまんのヤクソクをした。
信包《のぶかね》と指切りげんまんのヤクソクをした里英《りえ》は、信包《のぶかね》とサイコンできると言うてよろこんだ。
しかし、里英《りえ》が信包《のぶかね》とサイコンするという話を通りかかった人の耳に入ったので大ゴトになったようだ。
時は、午後3時頃であった。
またところ変わって、JRとめいてつと地下鉄の金山駅の南東よりにあるイオンモールにて…
里英《りえ》は、モール内にあるイオンスタイルの食品売り場で買い出しをしていた。
里英《りえ》は、鼻歌を歌いながら明日のお弁当を作る食材をカートに入れていた。
買い出しを終えた里英《りえ》は、セルフレジで順番待ちをしていた。
この時、里英《りえ》がいた場所から2メートル先の場所で奥さま同士が立ち話をしていた。
ふたりの奥さまは、声をひそめながら話をしていた。
「ちょいと奥さま〜」
「なによ~」
「あれ、今江のおくさまよ。」
「今江のおくさまがどうかしたの?」
「おくさま、今江の奥さまがダンナとリコンしたみたいよ。」
「リコン?」
「あんた知らんかったん…今江の奥さまは、ダンナが大キライだからリコンしたのよ~」
「ダンナが大キライだからリコンしたって?」
「だから、今江の奥さまは大好きな人と結婚したいからダンナとリコンしたのよ…」
「今江の奥さまは、ダンナのどう言う部分がキライなのよ?」
「だから、結婚しても親きょうだいと同居しているイソン魔だから大キライと言うたのよ〜」
「ますますわけが分からなくなったわ〜」
「あっ、ここだけの話だけど…今江の奥さまが天白区《テンハク》のリサイクル工場で働いている大好きな人のもとへお弁当を持って行ってるみたいよ。」
「ほんとうなの?」
「ほんとうにほんとうよ…それでね…今江の奥さまが大好きな人と指切りげんまんしたのよ…指切りげんまんしてサイコンするヤクソクを取りつけたみたいよ。」
「ウソでしょ…」
「ほんとうよ…今江のおくさまは、どこのどこまでイヤな人かしらねぇ…」
「それで、今江の奥さまが大好きな人って、だれ?」
「そうね…松城町の立浪《たつなみ》の家の次男坊よ。」
「ええ!!ミテジマ商事の営業の課長さんの次男坊って…」
「今江の奥さまはふざけてるわよ!!」
「そうよね〜」
「近くに今江の奥さまがいるわよ。」
「なんなのよ…イヤな女ね~」
「ほんとほんと…」
「立浪のご主人もご主人よ…ご主人がなさけないジジイだから息子さんたちにお嫁さんが来ないのよ~」
「そうよね〜」
この時であった。
近くにいた里英《りえ》が両手で顔をふさいだあと走って逃げ出した。
食材が入っているカートは、その場に放置された。
奥さまふたりは、このあとも里英《りえ》の悪口をズタズタに言いまくった。
時は、夕方6時半頃であった。
またところ変わって、半兵衛《はんべえ》の家族たちが暮らしている家にて…
家の食卓に半兵衛《はんべえ》と信包《のぶかね》と君枝《きみえ》と真央《まお》の4人がいた。
テーブルの上には、ものが置かれていなかった。
この日、真央《まお》が料理をする気がないので晩ごはんを作らなかった。
真央《まお》は、熱田区にあるイオンモールへ買い物に行ってた奥さまから信包《のぶかね》と里英《りえ》がミッカイしていたことを聞いたのでショックを受けていたと思う。
信包《のぶかね》は『おぼえてない!!』と言うたあと里英《りえ》が一方的に思いをつのらせているだけど言うた。
信包《のぶかね》から話を聞いた君枝《きみえ》は、困った声で言うた。
「よく分かったわよ…あんたは、里英《りえ》さんと結婚する気はないのね。」
「ねえよ!!里英《りえ》は…たのんでもいないのに、勝手に来ただけだ!!」
「分かったわ…」
ものすごくつらい表情を浮かべている信包《のぶかね》は、席を立ったあと怒った声で言うた。
「外へのみに行く!!うちにいたらむしゃくしゃするのだよ!!」
このあと、信包《のぶかね》は家から出たあと外へのみに行った。
それから1分後であった。
君枝《きみえ》は、1枚の書面をテーブルにのせたあと右手に作った握りこぶしでテーブルをドスーンとたたいた。
半兵衛《はんべえ》は、ひどくおびえまくった。
君枝《きみえ》は、ものすごく怒った声で半兵衛《はんべえ》を怒鳴りつけた。
「おとーさん!!」
「なんだよぉ〜」
「今回の問題は、おとーさんにも原因があるのよ!!」
「ワシになんの落ち度があると言うのだ〜」
「落ち度があるから殴ったのよ!!」
「君枝《きみえ》〜」
「甘えた声で言うな!!」
「君枝《きみえ》…わしはおだやかに話がしたいのだよ〜」
「おだやかに話せるジョウキョウじゃないわよ!!…おとなりの奥さまからことの次第を聞いたとき…アタシは、ものすごくはずかしい思いをしたのよ!!」
「君枝《きみえ》〜」
「ああ!!イライラするわね!!なさけない声を出すなクソジジイ!!」
(ドスーン!!ドスーン!!ドスーン!!)
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、右手に作った握りこぶしでテーブルを激しく殴りつけた。
その後、君枝《きみえ》はよりするどい目つきで半兵衛《はんべえ》をにらみつけながら言うた。
「おとーさん…この際だから言わせてもらうけど…信孝《のぶたか》と信包《のぶかね》はお嫁さんはいるの!?いらないの!?」
半兵衛《はんべえ》は、おびえながら答えた。
「いる…いる…だけど…身の丈に合う相手《おあいて》が近くに…」
「そのセリフは聞きあきたわよ!!…『身の丈に合う相手《おあいて》がいない…』と言うて悩んでばかりいるから前に進むことができないのよ!!」
「それじゃあ、どうしたらいいのだよ?」
「おとーさんとおかーさんが神任せにしていたからゴエンが逃げたのよ!!」
「神さまにお任せするしかないのに…」
「もういいわよ!!」
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、テーブルに置かれていた書面を手にしたあと半兵衛《はんべえ》を怒鳴りつけた。
「今度の週末に、栄の東急ホテルで親同士によるダイリコンカツのイベントがあるのよ…それをもうしこもうと思ったけど、やめるわよ!!」
「やめるってどう言うことだ!?」
「おとーさんとおかーさんが神さまに任せると言うて悩んでばかりいたからよ!!」
「やめないでくれ〜…申し込む…申し込む…」
「もう遅いわよ!!」
思い切りブチ切れた君枝《きみえ》は、ダイリコンカツのイベントの申し込み用紙にチャッカマンでつけた火であぶった。
火がついた申し込み用紙は、テーブルに置かれているアルミの容器《ボール》の中で燃えて灰になった。
その後、君枝《きみえ》はものすごく怒った声で半兵衛《はんべえ》に言うた。
「おとーさん!!」
「なんだよぉ〜」
「いまからおとーさんにお知らせがあります!!」
「お知らせって、なんだよぉ〜」
「うち…3日前にダンナとリコンしました。」
「リコン!!」
「そうよ…理由はひとつよ…ダンナが大キライだからリコンしました~」
「ダンナが大キライだからリコンしたとはどう言うことだ!?」
「大キライだからリコンしたのよ!!それのどこがいかんのよ!?」
君枝《きみえ》は、するどい目つきで半兵衛《はんべえ》をにらみつけながら言うた。
「さらにお知らせがもう一つあります…まりよは…1年前によその大学の男子学生から集団レイプの被害を受けました…それが原因で…短大をやめました…それともうひとり…うちは、ダンナとリコンしたあと大好きな人とサイコンすることを決めました…相手は…神戸にある海運会社のオンゾウシです…きのう…オンゾウシからプロポーズされました。」
「それ以上は言わないでくれ〜」
「もう遅いわよ!!…そういうことで、明日の朝…ここを出ます…まりよも連れていきます…明日の朝、引越屋さんが来るので…早く寝ます…まりよ…おいで…」
このあと、君枝《きみえ》はまりよを連れて部屋に入った。
君枝《きみえ》からズタズタに言われた半兵衛《はんべえ》は、おたつきまくった。
その翌朝であった。
君枝《きみえ》とまりよは、ほんとうに家から出て行った。
同時に、君枝《きみえ》とまりよが使っていた家財道具が家から運び出された。
君枝《きみえ》とまりよは、神戸へ行くと言うて家から出たあとそれっきりになった。