【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第15話
(ウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウーウー…)
時は、夕方5時過ぎであった。
またところ変わって、西宮市東浜町にある鋼板工場《こうはんこうじょう》にて…
工場の構内に交代の従業員さんたちが入ることを知らせるサイレンが鳴り響いた。
菜摘《なつみ》のオイゴ・度会弘樹《わたらいひろき》(28歳)は、大学を卒業したあと京田の家の人のコネでここに就職した。
7ヶ月前に、弘樹はうんと年上のお嫁さんをもらった…
6ヶ月前に、一女のパパになった…
しかし、弘樹《ひろき》は心のどこかで物足りなさを感じていた。
毎日、家庭と工場の間だけを往復する日々がしあわせな暮らしだとは思えない…
そう思った弘樹《ひろき》は、職場内でもめ事を繰り返すようになった。
ところ変わって、工場内にあるロッカールームにて…
弘樹《ひろき》は、着替えをしている男性従業員さんに対してものすごくつらい声で言うた。
「あの〜」
「なんや!!」
「あの〜…きょう…遊びに行っていいですか?」
「なに!!遊びに行っていいですかだと!?」
「遊びに行っていいですか?」
「オドレはふざけとんか!?」
「なんでそんなに大声で怒るのですか?」
「オドレは、女房こどもが家にいるじゃないか!?」
「いますけど…」
「いますけどなんや!?愛してないのか!?」
「愛してますよぅ〜」
「ほんならよりみちせずにまっすぐに帰れ!!」
「帰りますよ〜」
男性従業員さんに怒鳴られた弘樹《ひろき》は、煮えきらない表情を浮かべながら男性従業員さんに対してなおも頼んだ。
「あの〜」
「なんや!!」
「やっぱり…遊びに行きたいです〜」
「オドレしつこいぞ!!」
「なんでそんなに怒るのですか…ぼくは、(従業員)さんの家にあるプレステで遊びたいのです…」
「おい度会《クソガキ》!!オドレはなんで女房になった女性にプロポーズしたのだ!?」
「あれは…かわい…」
「はっきり物を言え!!ようは、カノジョの胎内にいる赤ちゃんを父親のいない子にしたくないから安易にプロポーズしたのか!?」
「あの時はシンケンに考えていたのだよ…好きと結婚は違うことぐらいわかってるよ…」
「ふざけるな!!オドレの悪い性格は死んだとうちゃんにそっくりだな!!」
「はっ?」
「はっ?じゃねえだろこの野郎!!オドレはどこのどこまで世の中をなめとんか!?」
「ぼくがそんなふうに見えますか?」
「ああ見えるとも!!…オドレはどこの大学卒だ!?」
「はっ?」
「聞いたところによると、オドレはなんの苦労もしてないようだな!!」
「それはどう言うことですか?」
「オドレは、親類《よそ》の家のお子さまの学資保険をドロボーした分でエエ大学に行ったのだろ…その上に、ゴーコンでスギヤマ(女子大)のオンナとチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラ…としていたのだろう…オドレのツラはチャラチャラしているみたいだな…せやけんいらつくのだよ!!」
(ドカッ!!)
思い切りブチ切れた男性従業員さんは、弘樹《ひろき》を両手でついて倒したあと『チャラチャラするんじゃねえよボケ!!』と言いながら右足で弘樹《ひろき》をけとばした。
男性従業員さんにけられた弘樹《ひろき》は、男性従業員さんの行く手をはばんだあと土下座をしてお願いした。
「お願いです…遊びに行きたいです!!」
「断わる!!」
「(従業員)さんの家でプレステがしたいです!!」
「どけオラ!!」
(ガーン!!)
思い切りブチ切れた男性従業員さんは、持っていた靴で弘樹《ひろき》のひたいを激しく殴りつけた。
その後、弘樹《ひろき》は男性従業員さんからボコボコにどつきまわされた。
時は、夜7時過ぎであった。
またところ変わって、西宮市東町《しないひがしまち》にある県営住宅《だんち》の4LDKの部屋にて…
この部屋は、弘樹《ひろき》の家族3人が暮らしていた。
部屋には、妻で信包《のぶかね》の幼なじみの女の子・里英《りえ》(41歳)と長女・菜水《なみ》(生後6ヶ月)がいた。
ダイニングテーブルに座っている里英《りえ》は、弘樹《ひろき》の帰りを待っていた。
テーブルの上には、里英《りえ》が作った晩ごはんがならんでいた。
里英《りえ》は、例の事件を起こしたことが原因で名古屋に居づらくなった…
名古屋を出たあと、友人の紹介で岐阜にあるデリヘル店に再就職した。
この時、里英《りえ》は客としてきた男性《おとこ》と知り合った。
里英《りえ》は、男とドウセイしていたがチジョウのもつれが原因で別れた。
この時、里英《りえ》は胎内に菜水《なみ》を宿していた。
弘樹《ひろき》は、街角でロトウに迷っていた里英《りえ》を助けたあと結婚した。
そして、菜水《なみ》が生まれた。
……………
最初の1〜2ヶ月の間、弘樹《ひろき》はしあわせな気持ちでいっぱいだった。
しかし、3ヶ月目に入ったあたりから工場と家庭を往復するだけの暮らしに激しいジレンマを感じた。
ぼくは…
他にも違う生き方があったのに…
なんで…
家庭を持ったのか…
………
話は戻って…
弘樹《ひろき》の帰りを待っている里英《りえ》は、ひどくイライラとしながら柱時計を見つめた。
この時であった。
スマホのライン通話の着信音が鳴った。
着信音は、りりあの歌で『貴方の側に』に設定されていた。
里英《りえ》は、ライン通話アプリをひらいたあと電話に出た。
「もしもし…里英《りえ》です。」
電話は、菜摘《なつみ》からであった。
ところ変わって、悠伍《ゆうご》の家族たちが暮らしている家にて…
家の食卓に亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》が座っていた。
亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》は、晩ごはんを食べていた。
菜摘《なつみ》は、うぐいす色のプッシュホンで電話をかけていた。
菜摘《なつみ》は、受話器ごしにいる里英《りえ》に言うた。
「もしもし里英《りえ》さん…武庫之荘《むこのそう》の京田でございます…あの…弘樹《ひろき》はまだ帰宅してないの?…だから、弘樹《ひろき》はまだ帰ってないのと聞いてるのよ!!…またよその家に遊びに行ったみたいね…そうでしょ…ほんとうに困った子ね…話を変えるけど、今度の土曜日はどうするの!?…いつになったらうちにお礼を言いに来るのよ…大学を卒業してから何年になると思うのよ!?…あなたにガーガーガーガー怒りたくないけど、あなたもこの最近気持ちがたるんでいるわよ!!…まじめに育児に取り組んでいるの!?…あの子もあの子で気持ちがたるんでいるわよ!!…最初の1〜2ヶ月は夢中になっていたのに、3ヶ月目からおかしくなった…これどう言うこと!?…もういいわよ!!…弘樹《ひろき》が帰宅したら伝えなさい!!…おばさん方に電話するようにと言いなさい!!」
(ガチャーン!!)
思い切りブチ切れた菜摘《なつみ》は、電話をガチャーンと切ったあと両手で髪の毛をグシャグシャとかきむしった。
そこへ、新《あらた》が帰宅した。
「ただいま。」
晃代《てるよ》が新《あらた》に声をかけた。
「おかえりなさい。」
「ああ…にいさんは?」
「上司のおともでミナミへ行ったわよ…亜香里《あかり》は今夜もヨアソビに行ったわよ…」
「そう…」
「あんたも早く食べなさい!!」
「ああ…」
新《あらた》は、席についたあとお茶わんを手に取った。
その後、スクウェアタイプの日立のふっくら御膳(炊飯器《ジャー》)のフタをあけてシャモジを使ってごはんをついだ。
炊飯器《ジャー》のフタを閉じた新《あらた》は、ごはんの上にカブラ漬けをのせた。
その後、白だしを注いだ。
晃代《てるよ》は、テーブルの真ん中に置かれている大皿に盛られているたくあんをはしでつまんだあと直接口に入れてもぐもぐと食べた。
時は、夕方5時過ぎであった。
またところ変わって、西宮市東浜町にある鋼板工場《こうはんこうじょう》にて…
工場の構内に交代の従業員さんたちが入ることを知らせるサイレンが鳴り響いた。
菜摘《なつみ》のオイゴ・度会弘樹《わたらいひろき》(28歳)は、大学を卒業したあと京田の家の人のコネでここに就職した。
7ヶ月前に、弘樹はうんと年上のお嫁さんをもらった…
6ヶ月前に、一女のパパになった…
しかし、弘樹《ひろき》は心のどこかで物足りなさを感じていた。
毎日、家庭と工場の間だけを往復する日々がしあわせな暮らしだとは思えない…
そう思った弘樹《ひろき》は、職場内でもめ事を繰り返すようになった。
ところ変わって、工場内にあるロッカールームにて…
弘樹《ひろき》は、着替えをしている男性従業員さんに対してものすごくつらい声で言うた。
「あの〜」
「なんや!!」
「あの〜…きょう…遊びに行っていいですか?」
「なに!!遊びに行っていいですかだと!?」
「遊びに行っていいですか?」
「オドレはふざけとんか!?」
「なんでそんなに大声で怒るのですか?」
「オドレは、女房こどもが家にいるじゃないか!?」
「いますけど…」
「いますけどなんや!?愛してないのか!?」
「愛してますよぅ〜」
「ほんならよりみちせずにまっすぐに帰れ!!」
「帰りますよ〜」
男性従業員さんに怒鳴られた弘樹《ひろき》は、煮えきらない表情を浮かべながら男性従業員さんに対してなおも頼んだ。
「あの〜」
「なんや!!」
「やっぱり…遊びに行きたいです〜」
「オドレしつこいぞ!!」
「なんでそんなに怒るのですか…ぼくは、(従業員)さんの家にあるプレステで遊びたいのです…」
「おい度会《クソガキ》!!オドレはなんで女房になった女性にプロポーズしたのだ!?」
「あれは…かわい…」
「はっきり物を言え!!ようは、カノジョの胎内にいる赤ちゃんを父親のいない子にしたくないから安易にプロポーズしたのか!?」
「あの時はシンケンに考えていたのだよ…好きと結婚は違うことぐらいわかってるよ…」
「ふざけるな!!オドレの悪い性格は死んだとうちゃんにそっくりだな!!」
「はっ?」
「はっ?じゃねえだろこの野郎!!オドレはどこのどこまで世の中をなめとんか!?」
「ぼくがそんなふうに見えますか?」
「ああ見えるとも!!…オドレはどこの大学卒だ!?」
「はっ?」
「聞いたところによると、オドレはなんの苦労もしてないようだな!!」
「それはどう言うことですか?」
「オドレは、親類《よそ》の家のお子さまの学資保険をドロボーした分でエエ大学に行ったのだろ…その上に、ゴーコンでスギヤマ(女子大)のオンナとチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラチャラ…としていたのだろう…オドレのツラはチャラチャラしているみたいだな…せやけんいらつくのだよ!!」
(ドカッ!!)
思い切りブチ切れた男性従業員さんは、弘樹《ひろき》を両手でついて倒したあと『チャラチャラするんじゃねえよボケ!!』と言いながら右足で弘樹《ひろき》をけとばした。
男性従業員さんにけられた弘樹《ひろき》は、男性従業員さんの行く手をはばんだあと土下座をしてお願いした。
「お願いです…遊びに行きたいです!!」
「断わる!!」
「(従業員)さんの家でプレステがしたいです!!」
「どけオラ!!」
(ガーン!!)
思い切りブチ切れた男性従業員さんは、持っていた靴で弘樹《ひろき》のひたいを激しく殴りつけた。
その後、弘樹《ひろき》は男性従業員さんからボコボコにどつきまわされた。
時は、夜7時過ぎであった。
またところ変わって、西宮市東町《しないひがしまち》にある県営住宅《だんち》の4LDKの部屋にて…
この部屋は、弘樹《ひろき》の家族3人が暮らしていた。
部屋には、妻で信包《のぶかね》の幼なじみの女の子・里英《りえ》(41歳)と長女・菜水《なみ》(生後6ヶ月)がいた。
ダイニングテーブルに座っている里英《りえ》は、弘樹《ひろき》の帰りを待っていた。
テーブルの上には、里英《りえ》が作った晩ごはんがならんでいた。
里英《りえ》は、例の事件を起こしたことが原因で名古屋に居づらくなった…
名古屋を出たあと、友人の紹介で岐阜にあるデリヘル店に再就職した。
この時、里英《りえ》は客としてきた男性《おとこ》と知り合った。
里英《りえ》は、男とドウセイしていたがチジョウのもつれが原因で別れた。
この時、里英《りえ》は胎内に菜水《なみ》を宿していた。
弘樹《ひろき》は、街角でロトウに迷っていた里英《りえ》を助けたあと結婚した。
そして、菜水《なみ》が生まれた。
……………
最初の1〜2ヶ月の間、弘樹《ひろき》はしあわせな気持ちでいっぱいだった。
しかし、3ヶ月目に入ったあたりから工場と家庭を往復するだけの暮らしに激しいジレンマを感じた。
ぼくは…
他にも違う生き方があったのに…
なんで…
家庭を持ったのか…
………
話は戻って…
弘樹《ひろき》の帰りを待っている里英《りえ》は、ひどくイライラとしながら柱時計を見つめた。
この時であった。
スマホのライン通話の着信音が鳴った。
着信音は、りりあの歌で『貴方の側に』に設定されていた。
里英《りえ》は、ライン通話アプリをひらいたあと電話に出た。
「もしもし…里英《りえ》です。」
電話は、菜摘《なつみ》からであった。
ところ変わって、悠伍《ゆうご》の家族たちが暮らしている家にて…
家の食卓に亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》が座っていた。
亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》は、晩ごはんを食べていた。
菜摘《なつみ》は、うぐいす色のプッシュホンで電話をかけていた。
菜摘《なつみ》は、受話器ごしにいる里英《りえ》に言うた。
「もしもし里英《りえ》さん…武庫之荘《むこのそう》の京田でございます…あの…弘樹《ひろき》はまだ帰宅してないの?…だから、弘樹《ひろき》はまだ帰ってないのと聞いてるのよ!!…またよその家に遊びに行ったみたいね…そうでしょ…ほんとうに困った子ね…話を変えるけど、今度の土曜日はどうするの!?…いつになったらうちにお礼を言いに来るのよ…大学を卒業してから何年になると思うのよ!?…あなたにガーガーガーガー怒りたくないけど、あなたもこの最近気持ちがたるんでいるわよ!!…まじめに育児に取り組んでいるの!?…あの子もあの子で気持ちがたるんでいるわよ!!…最初の1〜2ヶ月は夢中になっていたのに、3ヶ月目からおかしくなった…これどう言うこと!?…もういいわよ!!…弘樹《ひろき》が帰宅したら伝えなさい!!…おばさん方に電話するようにと言いなさい!!」
(ガチャーン!!)
思い切りブチ切れた菜摘《なつみ》は、電話をガチャーンと切ったあと両手で髪の毛をグシャグシャとかきむしった。
そこへ、新《あらた》が帰宅した。
「ただいま。」
晃代《てるよ》が新《あらた》に声をかけた。
「おかえりなさい。」
「ああ…にいさんは?」
「上司のおともでミナミへ行ったわよ…亜香里《あかり》は今夜もヨアソビに行ったわよ…」
「そう…」
「あんたも早く食べなさい!!」
「ああ…」
新《あらた》は、席についたあとお茶わんを手に取った。
その後、スクウェアタイプの日立のふっくら御膳(炊飯器《ジャー》)のフタをあけてシャモジを使ってごはんをついだ。
炊飯器《ジャー》のフタを閉じた新《あらた》は、ごはんの上にカブラ漬けをのせた。
その後、白だしを注いだ。
晃代《てるよ》は、テーブルの真ん中に置かれている大皿に盛られているたくあんをはしでつまんだあと直接口に入れてもぐもぐと食べた。