【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第19話
さて、その頃であった。

またところ変わって、武庫之荘《むこのそう》にある悠伍《ゆうご》の家族たちが暮らしている家にて…

家の広間に健介《けんすけ》と健人《けんと》(長男・6歳)と生海《いくみ》(長女・4歳)と菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》の6人がいた。

テーブルの上には、菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》の3人で作った料理が並んでいた。

きょうの昼食は、ライスカレーとマッシュポテトサラダと福神漬けである。

この時、なおみが家に到着した。

なおみは、やさしい声で健介《けんすけ》たち家族3人に声をかけた。

「あなた〜健人《けんと》〜生海《いくみ》〜」
「なおみ。」
「ママ。」
「ママ。」

菜摘《なつみ》は、やさしい声でみんなに言うた。

「ああ、なおみさんが帰宅したのでお昼にしましょうね。」

健介《けんすけ》たち家族4人がイスに座ったあと、ランチに入った。

なおみは、健人《けんと》と生海《いくみ》が食べる白いごはんにカレーかけたあとゆっくりと差し出した。

「は〜い、ゆっくりと食べるのよ。」
「うん。」

このあと、健人《けんと》と生海《いくみ》はカレーを食べ始めた。

その後、なおみと健介《けんすけ》と菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》の5人がランチを摂り始めた。

時は、12時半頃であった。

健介《けんすけ》は、キッチンで洗い物をしていた。

テレビの前にいる健人《けんと》と生海《いくみ》は、アニメのDVDを鑑賞していた。

ダイニングテーブルにいるなおみと菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》の4人は、お茶をのみながら話し合いをしていた。

「なおみさん。」
「義母《おかあ》さま。」
「つぎ、日本《ここ》に帰る日はいつ?」
「今のところは、まだ未定だけど…」

なおみは、ややつらい声で言うたあとお茶をひとくちのんだ。

亜弥子《あやこ》は、心配げな声でなおみに言うた。

「なおみさん。」
「義祖母《おばあ》さま。」
「なおみさんが海外のあちらこちらを転々としている間、健介《けんすけ》が家庭のことを全部しているのよ。」
「健介《けんすけ》さんは、よろこんで家庭と育児を引き受けたのよ。」
「それならいいけど…」

晃代《てるよ》は、ぼんち揚げをつまみながらのんきな声で言うた。

「おか~ちゃん、今は男がお勤めに出て女が家庭という時代じゃないのよ!!」
「それは分かってるわよ〜」
「健介《けんすけ》は、家のことと育児を楽しんでいるのよ!!…なんで理解しないのよ!?」
「分かってるわよ〜」

このあと、なおみは黒の手提げカバンの中から大きめのふうとうを取り出したあと亜弥子《あやこ》に言うた。

「義祖母《おばあ》さま。」
「なおみさん。」
「お見合い写真を持ってまいりました。」
「お見合い写真。」
「新《あらた》さんにいかがですかって…」
「新《あらた》にお見合いって…」
「ごめんなさい…なんの相談もなくエンダンを入れてごめんなさい…」

晃代《てるよ》は、困った声で『それはいいけど…』と言うたあとこう言うた。

「今の新《あらた》の気持ちは、結婚に向いているかどうかよ…新《あらた》が気乗りしない状態でエンダンを入れたら…コンワクするわよ。」
「お写真はこちらで預かります…この件については、アタシに任せていいでしょうか?」
「いいわよ…あとは新《あらた》の気持ち次第だからなにも言わないわよ。」
「分かりました。」

なおみは、お見合い写真が入っている大きめのふうとうを黒の手提げカバンの中に入れた。

時は、12時50分頃であった。

またところ変わって、新《あらた》が勤務しているオフィスにて…

ランチ休憩を終えた新《あらた》は、休憩時間終わりのタイムカードを押したあと所定のデスクに戻った。

ひとりでひねくれている男性従業員さんをちらっとみた新《あらた》は、となりのデスクにいる女性従業員さんに言うた。

「あの〜」
「なあに?」
「祖父江《そぶえ》さん…なんで怒っているの?」
「近本さんにお弁当を食べさせてくれと言うたけど、断られたのでひねているのよ。」
「アホみたい。」
「そうよ…どうしようもないドアホよ。」

新《あらた》は、困った声で言うた。

「祖父江《そぶえ》さんは、近本さんの奥さまが作ったお弁当を食べたかったのかな?」
「言わなくても分かるでしょ!!」
「祖父江《そぶえ》さんは一人暮らし?」
「前は一人暮らしをしていたけど、数年前におにいが嫁はんをもらったので実家ヘ帰ったのよ!!」
「ほんならおにいの嫁に作ってもらえばいいのに…」
「おにいの夫婦はともかせぎだからむりよ…両親は遅おきしているからまたむりよ…そないにイコジにならなくても給与引きでお弁当を注文したらいいのに…」
「なんでお弁当を注文しないの?」
「祖父江《そぶえ》さんは(お弁当工場)のお弁当はゲロまずいと言うてるのよ…ごちそうだと思って食べればいいのに…きょうのお弁当には串かつが入っていたのよ…きのうのお弁当には小さいけどポテトグラタンが入っていたのよ…祖父江《そぶえ》さんは、お弁当を作ってくださる人の気持ちが分からないからアカンねん!!」

(ガーン!!)

ひねていた男性従業員さんは、右足でデスクをけとばしたあと『むしゃくしゃするからパチンコに行ってくらぁ!!』と言いながらオフィスから出た。

女性従業員さんは、怒った声で言うた。

「祖父江《そぶえ》さんはドサイテーね!!気に入らなかったらショクムホウキしてギャンブルしに行ったわね…あれじゃあ、嫁はんは来てくれんワ!!」

なんとも言えない…

(キンコンカン…)

この時、午後の始業を知らせるチャイムが鳴った。

新《あらた》は、従業員さんたちと一緒にお仕事を始めた。
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