【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
最終回
(ツクツクホーシ…)
それから2ヶ月後の8月28日であった。
この日の予想最高気温は、35度で猛暑日になると報じられた。
時は、午前10時半頃であった。
ところ変わって、悠伍《ゆうご》の家族たちが暮らしている家にて…
家のテーブルに菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》となおみの3人がいた。
晃代《てるよ》は、朝から出かけていて不在であった。
なおみは、翌日は大阪でお仕事をする予定なのでこの家に立ち寄った。
なおみは、菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に対して仕事上の関係で急に都合が悪くなったことを伝えた。
「義母《おかあ》さまごめんなさい…仕事上の関係で急に都合が悪くなったのよ…」
菜摘《なつみ》は、怒った声でなおみに言うた。
「急に都合が悪くなったって、どう言うことよ!?」
なおみは、ひどく困った声で言うた。
「義母《おかあ》さま!!アタシは自己中心的な都合とは言うてないのよ!!イワマツグループのお仕事のスケジュールの関係でアタシの都合が急に悪くなったのよ!!」
「なおみさん!!」
「菜摘《なつみ》さん…」
「義母さま!!」
「あなたがガーガーガーガー怒鳴り散らしたらなおみさんがイシュクするわよ!!」
「分かってるわよ…」
亜弥子《あやこ》は、菜摘《なつみ》をなだめたあとなおみに対して理由をたずねた。
なおみは、ものすごくつらい表情で亜弥子《あやこ》に言うた。
「他にも都合が悪いことが生じたのです…健介《けんすけ》さんが、2週間前に吐血したあと倒れたのです…診断の結果、センガンでステージ4と診断されたのです。」
「ステージ4のセンガン…」
「ええ…アタシはイワマツグループのメンバーたちと一緒に世界のあちらこちらを回っているので…家に帰ることができないのです…その間、健介《けんすけ》さんに健人《けんと》と生海《いくみ》の育児を全部まかせていたのです…アタシひとりのせいで健介《けんすけ》さんが犠牲になった…そう思うと…すごく心苦しいのです…」
亜弥子《あやこ》は、つらい表情でなおみに言うた。
「心苦しいと思うのであれば『お休みをください…』と上の人に申し出たらどうかな?」
なおみは、ものすごくつらい表情で言うた。
「できたら申し出たいけど…アタシはリースバック会社全般を任されているので休みたくても休めないのです!!」
「それじゃあどうするのよ…問題は、健介《けんすけ》が入院しているあいだ子どもたちをどうするかよ。」
「生海《いくみ》は、近いうちに豊岡で暮らしている子供のいない夫婦の家に養女に出すことになりました…健人《けんと》は、波止浜(愛媛県今治市)にある母子保護施設へ預けます…」
「なおみさん…」
「祖母《おばあ》さま!!すごくつらい決断を下したうちの気持ちをわかってください!!」
「なおみさんのお気持ちはわかるわよ…だけどやっぱり…」
「祖母《おばあ》さまはうちになにを求めているのですか!?」
「うちは、健人《けんと》くんと生海《いくみ》ちゃんがなおみさんと離れ離れになるのがイヤだから…」
「イヤだからどうしてほしいのですか!?…アタシにイワマツグループをやめろと言いたいのですか!?」
「やめろとは言うてないわよ…しばらくの間だけお休みをもらってと言うてるのよ…健人《けんと》くんと生海《いくみ》ちゃんは、ママと一緒に過ごす時間がほしいと言うてるのよ!!」
「祖母《おばあ》さまのお気持ちはよく分かりますが、代わりがいないのです!!」
「それじゃあ困るわよ〜」
亜弥子《あやこ》から口やかましく言われたなおみは、ものすごく怒った声で『もういいわよ!!』と言うたあと、1枚の書面をテーブルに出した。
1枚の書面は、リコン届を出しましたと言う証明書であった。
菜摘《なつみ》は、真っ青な表情で『健介《けんすけ》とリコンした…』と言うた。
なおみは、深刻な声で菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に言うた。
「アタシ、健介《けんすけ》さんにもうしわけないことをしたのでリコンすることにしました…3年前にアタシの前のダンナが通り魔事件で亡くなったので健介《けんすけ》さんとサイコンしました…健介《けんすけ》さんは…同じ時に…職場で知り合った婚約者の女性と結婚する予定だった…それを…アタシひとりの都合で…健介《けんすけ》さんは…婚約者の女性と結婚することをやめた…健介《けんすけ》さんがつとめていた職場の人に健介《けんすけ》さんと婚約者の女性を別れさせてほしいと頼んだと言われても仕方がありません…」
「菜摘《なつみ》さん。」
「祖母《おばあ》さま、義母《おかあ》さま…アタシは…結婚にしばられるのがイヤなのです!!…だから健介《けんすけ》さんとリコンしました!!…ただそれだけです…子どもの養育費などについては…アタシの稼ぎがあるので大丈夫です…健人《けんと》についても、近く養子縁組の話が決まります…それもお伝えしておきます。」
なおみは、一方的に突き放す声で言うたあと新《あらた》とことはのお見合いの返事を菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に伝えた。
「最後に…新《あらた》さんとことはさんのエンダンについてですが…ことはさんのご両親が『待ってくれ…』と言うたので、しばらくの間…ホリュウします。」
「ホリュウにするって…」
「ですから、ことはさんのご実家で都合が悪いことが生じたのです!!」
「ことはさんの実家で、都合が悪いことが生じたって?」
「祖母《おばあ》さま!!義母《おかあ》さま!!…ことはさんのご両親は、次女さん(28歳)のエンダンを大急ぎでまとめたいのでヤッキになっているのです!!…次女さんが正式にオムコさんをもらうまで待ってくださいと言うてるのです!!」
なおみが言うた言葉に対して、亜弥子《あやこ》はつらい表情で言うた。
「分かったわよ…新《あらた》に伝えておくわよ…」
話し合いはそこで終わった。
なおみは、武庫之荘の家から出たあとイワマツグループのA班のメンバーたちが待っている大阪市内へ引き返した。
その頃であった。
新《あらた》は、いつも通りにオフィスでデスクワークに取り組んでいた。
新《あらた》はことはとお付き合いをするかどうかを悩み続けたが、実家《いえ》の状況などをコウリョした上で取りやめることにした。
これにより、新《あらた》とことはのエンダンはハクシテッカイされた。
時は、午後3時頃であった。
またところ変わって、大阪伊丹国際空港のVIP専用のロビーにて…
VIP専用ロビーにイワマツグループのA班のメンバーたちがいた。
ことはは、ロビーの窓から夕暮れ時の空を見つめながらつぶやいた。
もうまよわない…
アタシ…
やっぱり結婚にしばられるのはイヤ…
アタシは…
アタシ自身の人生を歩むのよ…
(ゴーッ…)
時は、夕方5時半頃であった。
イワマツグループのA班のメンバーたちが乗り込んだ専用機が大阪伊丹国際空港から飛び立った。
ことはは、窓に映る伊丹・大阪池田の街並みを見つめながらつぶやいた。
さよなら…
新《あらた》さんさよなら…
ところ変わって、阪急梅田駅のプラットホームにて…
スーツ姿で黒の手提げカバンを持っている新《あらた》は、阪急神戸線のプラットホームに立っていた。
新《あらた》は、夕空に飛んでいる専用機を見つめながらなにを思っていたのか?
【おわり】
それから2ヶ月後の8月28日であった。
この日の予想最高気温は、35度で猛暑日になると報じられた。
時は、午前10時半頃であった。
ところ変わって、悠伍《ゆうご》の家族たちが暮らしている家にて…
家のテーブルに菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》となおみの3人がいた。
晃代《てるよ》は、朝から出かけていて不在であった。
なおみは、翌日は大阪でお仕事をする予定なのでこの家に立ち寄った。
なおみは、菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に対して仕事上の関係で急に都合が悪くなったことを伝えた。
「義母《おかあ》さまごめんなさい…仕事上の関係で急に都合が悪くなったのよ…」
菜摘《なつみ》は、怒った声でなおみに言うた。
「急に都合が悪くなったって、どう言うことよ!?」
なおみは、ひどく困った声で言うた。
「義母《おかあ》さま!!アタシは自己中心的な都合とは言うてないのよ!!イワマツグループのお仕事のスケジュールの関係でアタシの都合が急に悪くなったのよ!!」
「なおみさん!!」
「菜摘《なつみ》さん…」
「義母さま!!」
「あなたがガーガーガーガー怒鳴り散らしたらなおみさんがイシュクするわよ!!」
「分かってるわよ…」
亜弥子《あやこ》は、菜摘《なつみ》をなだめたあとなおみに対して理由をたずねた。
なおみは、ものすごくつらい表情で亜弥子《あやこ》に言うた。
「他にも都合が悪いことが生じたのです…健介《けんすけ》さんが、2週間前に吐血したあと倒れたのです…診断の結果、センガンでステージ4と診断されたのです。」
「ステージ4のセンガン…」
「ええ…アタシはイワマツグループのメンバーたちと一緒に世界のあちらこちらを回っているので…家に帰ることができないのです…その間、健介《けんすけ》さんに健人《けんと》と生海《いくみ》の育児を全部まかせていたのです…アタシひとりのせいで健介《けんすけ》さんが犠牲になった…そう思うと…すごく心苦しいのです…」
亜弥子《あやこ》は、つらい表情でなおみに言うた。
「心苦しいと思うのであれば『お休みをください…』と上の人に申し出たらどうかな?」
なおみは、ものすごくつらい表情で言うた。
「できたら申し出たいけど…アタシはリースバック会社全般を任されているので休みたくても休めないのです!!」
「それじゃあどうするのよ…問題は、健介《けんすけ》が入院しているあいだ子どもたちをどうするかよ。」
「生海《いくみ》は、近いうちに豊岡で暮らしている子供のいない夫婦の家に養女に出すことになりました…健人《けんと》は、波止浜(愛媛県今治市)にある母子保護施設へ預けます…」
「なおみさん…」
「祖母《おばあ》さま!!すごくつらい決断を下したうちの気持ちをわかってください!!」
「なおみさんのお気持ちはわかるわよ…だけどやっぱり…」
「祖母《おばあ》さまはうちになにを求めているのですか!?」
「うちは、健人《けんと》くんと生海《いくみ》ちゃんがなおみさんと離れ離れになるのがイヤだから…」
「イヤだからどうしてほしいのですか!?…アタシにイワマツグループをやめろと言いたいのですか!?」
「やめろとは言うてないわよ…しばらくの間だけお休みをもらってと言うてるのよ…健人《けんと》くんと生海《いくみ》ちゃんは、ママと一緒に過ごす時間がほしいと言うてるのよ!!」
「祖母《おばあ》さまのお気持ちはよく分かりますが、代わりがいないのです!!」
「それじゃあ困るわよ〜」
亜弥子《あやこ》から口やかましく言われたなおみは、ものすごく怒った声で『もういいわよ!!』と言うたあと、1枚の書面をテーブルに出した。
1枚の書面は、リコン届を出しましたと言う証明書であった。
菜摘《なつみ》は、真っ青な表情で『健介《けんすけ》とリコンした…』と言うた。
なおみは、深刻な声で菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に言うた。
「アタシ、健介《けんすけ》さんにもうしわけないことをしたのでリコンすることにしました…3年前にアタシの前のダンナが通り魔事件で亡くなったので健介《けんすけ》さんとサイコンしました…健介《けんすけ》さんは…同じ時に…職場で知り合った婚約者の女性と結婚する予定だった…それを…アタシひとりの都合で…健介《けんすけ》さんは…婚約者の女性と結婚することをやめた…健介《けんすけ》さんがつとめていた職場の人に健介《けんすけ》さんと婚約者の女性を別れさせてほしいと頼んだと言われても仕方がありません…」
「菜摘《なつみ》さん。」
「祖母《おばあ》さま、義母《おかあ》さま…アタシは…結婚にしばられるのがイヤなのです!!…だから健介《けんすけ》さんとリコンしました!!…ただそれだけです…子どもの養育費などについては…アタシの稼ぎがあるので大丈夫です…健人《けんと》についても、近く養子縁組の話が決まります…それもお伝えしておきます。」
なおみは、一方的に突き放す声で言うたあと新《あらた》とことはのお見合いの返事を菜摘《なつみ》と亜弥子《あやこ》に伝えた。
「最後に…新《あらた》さんとことはさんのエンダンについてですが…ことはさんのご両親が『待ってくれ…』と言うたので、しばらくの間…ホリュウします。」
「ホリュウにするって…」
「ですから、ことはさんのご実家で都合が悪いことが生じたのです!!」
「ことはさんの実家で、都合が悪いことが生じたって?」
「祖母《おばあ》さま!!義母《おかあ》さま!!…ことはさんのご両親は、次女さん(28歳)のエンダンを大急ぎでまとめたいのでヤッキになっているのです!!…次女さんが正式にオムコさんをもらうまで待ってくださいと言うてるのです!!」
なおみが言うた言葉に対して、亜弥子《あやこ》はつらい表情で言うた。
「分かったわよ…新《あらた》に伝えておくわよ…」
話し合いはそこで終わった。
なおみは、武庫之荘の家から出たあとイワマツグループのA班のメンバーたちが待っている大阪市内へ引き返した。
その頃であった。
新《あらた》は、いつも通りにオフィスでデスクワークに取り組んでいた。
新《あらた》はことはとお付き合いをするかどうかを悩み続けたが、実家《いえ》の状況などをコウリョした上で取りやめることにした。
これにより、新《あらた》とことはのエンダンはハクシテッカイされた。
時は、午後3時頃であった。
またところ変わって、大阪伊丹国際空港のVIP専用のロビーにて…
VIP専用ロビーにイワマツグループのA班のメンバーたちがいた。
ことはは、ロビーの窓から夕暮れ時の空を見つめながらつぶやいた。
もうまよわない…
アタシ…
やっぱり結婚にしばられるのはイヤ…
アタシは…
アタシ自身の人生を歩むのよ…
(ゴーッ…)
時は、夕方5時半頃であった。
イワマツグループのA班のメンバーたちが乗り込んだ専用機が大阪伊丹国際空港から飛び立った。
ことはは、窓に映る伊丹・大阪池田の街並みを見つめながらつぶやいた。
さよなら…
新《あらた》さんさよなら…
ところ変わって、阪急梅田駅のプラットホームにて…
スーツ姿で黒の手提げカバンを持っている新《あらた》は、阪急神戸線のプラットホームに立っていた。
新《あらた》は、夕空に飛んでいる専用機を見つめながらなにを思っていたのか?
【おわり】