【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第7話
時は、10月14日の朝10時頃であった。
またところ変わって、前浜通りにある大型病院にて…
絹代《きぬよ》がいる病室にまりよがいた。
まりよは、白のTシャツとネイビーのロングパンツの上から濃いピンク色のエプロンをつけている姿で絹代《きぬよ》のカンビョウをしていた。
まりよは、新しいお花が入っている大きなかびんをベッドの横にある台にゆっくりと置いた。
その後、絹代《きぬよ》が着ていた肌着類をユニクロのロゴ入りのトートバッグに入れる作業に入った。
絹代《きぬよ》は、弱々しい声でまりよに言うた。
「まりよ…」
「おばあちゃん。」
「まりよ…ごめんね…」
「おばあちゃん、アタシは大丈夫よ。」
「おばあちゃんのために…せっかく入った短大を…休学になった…」
「おばあちゃん…アタシはおばあちゃんの病気が完治するようにと思いながらカンビョウをしているのよ…短大は1回生の単位は取ったのよ…」
「でも…やっぱり短大に行ってよ…」
「おばあちゃん!!…アタシは短大から大学の2回生に編入することも考えているのよ…もっと福祉の勉強をして、人のお役にたとうという気持ちに変わりはないわよ。」
「だけど、休学はもったいないわよ…」
「おばあちゃん…アタシは大丈夫だから心配しないで…アタシは、おばあちゃんが元気になるまでお世話するから大丈夫よ!!」
「ありがとう…ありがとう…」
絹代《きぬよ》は、涙ぐんだ声でまりよに言うた。
このあと、まりよは洗濯物がたくさん入っているトートバッグを持って院内にあるコインランドリーへ向かった。
(ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…)
時は、午前11時59分頃であった。
ところ変わって、名古屋市天白区の県道名古屋東環状線沿いにあるリサイクル工場にて…
信包《のぶかね》は、ここで朝9時から夕方4時頃まで働いていた。
黒の作業着姿の信包《のぶかね》は、アルミ缶をつぶす作業に取り組んでいた。
(ウーウーウーウーウーウーウーウー…)
構内に正午《ひるやすみ》を知らせるサイレンが鳴り響いた。
現場の人が『みんな、メシにしようか…』と言うた。
従業員さんたちは、休憩室へ移動した。
信包《のぶかね》は、工場の近くにある飯屋《ごはんや》へ行こうとした。
この時であった。
信包《のぶかね》の幼なじみの今江里英《いまえりえ》(39歳・人妻)が大きなバスケットを持ってやって来た。
里英《りえ》は、満面の笑みで信包《のぶかね》を呼んだ。
「信包《のぶかね》〜」
「(信包、めんどくさい声で言う)なんだよぉ〜」
「一緒にランチを摂ろうよ〜」
「オレはこれから飯屋《ごはんや》へ行くのだよ…」
「どうしてごはんやへ行くのよ?」
「オレは食いたいものを食いたいのだよ〜」
「それじゃあよくないわよ…お肉とお野菜をバランスよく食べないと、身体をこわすわよ…一緒に食べようね。」
このあと、里英《りえ》は信包《のぶかね》と一緒に構内にある藤だなに行った。
ところ変わって、構内にある藤だなにて…
里英《りえ》は、うきうきした表情で信包《のぶかね》に言うた。
「きょうは、信包《のぶかね》の大好物をたくさん作ったわよ…えーとね…今日はね…」
信包《のぶかね》は、めんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「里英《りえ》。」
「なあに信包《のぶかね》。」
「お前はいいのかよ?」
「いいのかよって…」
「お前はダンナいるのだろ…」
「いるわよ。」
「なんでダンナにお弁当を作らないのだ!?」
「ダンナが拒否したからよ~」
「なんで拒否するのだよ?」
「ダンナは、上の人が注文した豪華料理がおいしいおいしいと言うているのよ。」
「お前のダンナは、職場の人とどこでメシを食ってるのだよ?」
「きょうは、中納言《ちゅうなごん》(伊勢海老中華料理の店)に行った…きのうは、大須観音の近くにある割ぽう料亭よ…その前の日は、タレントさん御用達のあの洋食屋さんへ行ったわよ…」
「あっそうかよ。」
「ダンナは、アタシがキライなのよ!!」
「本当か?」
「本当よ。」
里英《りえ》は、このあと信包《のぶかね》に対して自分のダンナの悪口をズタズタに言いまくった。
その後、里英《りえ》はやさしい声で信包《のぶかね》に言うた。
「もういいよね…ごはん食べようね。」
「里英《りえ》…」
「午後からお仕事がたくさんあるのでしょ…たくさん食べておこうね…はい…あーん…」
里英《りえ》は、信包《のぶかね》にお弁当を食べさせるなど…あれこれと世話をやいた。
(ジュー…)
またところ変わって、バンテリンドームの近くのイオンモール内にある矢場とんの調理場にて…
三重子《みえこ》は、いつも通りにみそかつを揚げるお仕事に取り組んでいた。
(サクサク…)
三重子《みえこ》は、揚げたてのみそかつを脂《あぶら》の中から引き上げたあと食べやすいサイズにカットした。
その後、キャベツが盛られているお皿にみそかつを入れた。
それから15分後であった。
お仕事がひと息ついた三重子《みえこ》のもとに女性従業員さんがやって来た。
「三重子《みえこ》さん。」
「はい。」
「しばらくの間、いい?」
「はい。」
女性従業員さんは、心配げな声で三重子《みえこ》に言うた。
「三重子《みえこ》さんは、ほんとうにダンナとリコンするつもりなの?」
「そうよ。」
「どうしてリコンするのよ?」
「ダンナが一方的にリコンしてくれと要求した…ただそれだけよ。」
「あんたのダンナに女ができたの?」
「だから、そうだと言ってるでしょ!!ダンナが『好きな女ができたからリコンしてくれ…』と言うたから、しかたなく応じたのよ!!」
「分かったわ…」
「ダンナは聞く耳をもたない性格だから協議《はなしあい》はしなかったわよ。」
「その後は、だれがお子さんたちをやしなうのよ?」
「義竜《よしたつ》とほのかは、めんどくさいからヨウシに出すことにしたわ…知永子《ちえこ》は大人だからひとりでできるけど…」
「ふたりの子は、ヨウシに出すのね…それなら、なにも言うことはないわね。」
女性従業員さんは、三重子《みえこ》にこう言うたあと休憩時間が来たことを知らせた。
その後、三重子《みえこ》はランチを摂るために外へ出た。
またところ変わって、有松のイオンタウン内にある大垣共立銀行の支店にて…
新《あらた》は、ひとことも言わずにデスクワークに取り組んでいた。
そこへ、上司の男性がもうしわけない表情で新《あらた》のもとにやって来た。
上司の男性は、もうしわけない表情で新《あらた》に言うた。
「京田くん。」
「なんでしょうか?」
「ちょっと、お知らせがあるけどいい?」
「お知らせって、なんですか?」
「たいしたことじゃないのだよ…7月1日に深瀬の社長さんにケータイを届けたよね。」
「ええ…深瀬の社長がお礼をしたいと言ってましたが、アレどうなったのですか?」
「深瀬の社長さんが『ごめんなさい…』と言うてたよ。」
「なんで深瀬の社長が『ごめんなさい』と言うたのですか?」
「深瀬の社長さんは、わざとお礼を忘れたのじゃないのだよ…お礼をするメドがたった時に急なアクシデントがあったのだよ…あの時、長女さんの結婚がハタンしたよね…深瀬の社長さんはお孫さん(29歳男性)を京田くんの長女さんに紹介しようと思っていたのだよ…その時に、お孫さんが職場恋愛で知り合ったお嫁さんをもらったと言う知らせが入ったのだよ…」
「深瀬の社長は、ヤクドシの女はいらないと言うたのですね…」
「違うのだよ…タイミングが合わなかっただけだよ〜」
「課長、もうやめてください…深瀬の社長さんに言うてください…人のおんをアダで返すのであれば考えがあると言うてください…」
新《あらた》は、はき捨てる言葉を言うたあとデスクワークに戻った。
上司の男性は、ものすごくおたついた表情デスクワークあたりを見渡した。
さて、その頃であった。
知永子《ちえこ》は、ふらついた足取りで栄の中心地を歩いていた。
通りには、若いカップルさんたちや大学生のグループたちがたくさん歩いていた。
通りのスピーカーからりりあの歌で『貴方《あなた》の側《そば》に』が流れていた。
ものすごく悲しい表情を浮かべている知永子《ちえこ》は、あてもなく栄の中心地をウロウロと歩き続けた。
今の知永子《ちえこ》は、生きる力がなかった。
この先、カノジョはどうするつもりでいるのか?
またところ変わって、前浜通りにある大型病院にて…
絹代《きぬよ》がいる病室にまりよがいた。
まりよは、白のTシャツとネイビーのロングパンツの上から濃いピンク色のエプロンをつけている姿で絹代《きぬよ》のカンビョウをしていた。
まりよは、新しいお花が入っている大きなかびんをベッドの横にある台にゆっくりと置いた。
その後、絹代《きぬよ》が着ていた肌着類をユニクロのロゴ入りのトートバッグに入れる作業に入った。
絹代《きぬよ》は、弱々しい声でまりよに言うた。
「まりよ…」
「おばあちゃん。」
「まりよ…ごめんね…」
「おばあちゃん、アタシは大丈夫よ。」
「おばあちゃんのために…せっかく入った短大を…休学になった…」
「おばあちゃん…アタシはおばあちゃんの病気が完治するようにと思いながらカンビョウをしているのよ…短大は1回生の単位は取ったのよ…」
「でも…やっぱり短大に行ってよ…」
「おばあちゃん!!…アタシは短大から大学の2回生に編入することも考えているのよ…もっと福祉の勉強をして、人のお役にたとうという気持ちに変わりはないわよ。」
「だけど、休学はもったいないわよ…」
「おばあちゃん…アタシは大丈夫だから心配しないで…アタシは、おばあちゃんが元気になるまでお世話するから大丈夫よ!!」
「ありがとう…ありがとう…」
絹代《きぬよ》は、涙ぐんだ声でまりよに言うた。
このあと、まりよは洗濯物がたくさん入っているトートバッグを持って院内にあるコインランドリーへ向かった。
(ガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガガ…)
時は、午前11時59分頃であった。
ところ変わって、名古屋市天白区の県道名古屋東環状線沿いにあるリサイクル工場にて…
信包《のぶかね》は、ここで朝9時から夕方4時頃まで働いていた。
黒の作業着姿の信包《のぶかね》は、アルミ缶をつぶす作業に取り組んでいた。
(ウーウーウーウーウーウーウーウー…)
構内に正午《ひるやすみ》を知らせるサイレンが鳴り響いた。
現場の人が『みんな、メシにしようか…』と言うた。
従業員さんたちは、休憩室へ移動した。
信包《のぶかね》は、工場の近くにある飯屋《ごはんや》へ行こうとした。
この時であった。
信包《のぶかね》の幼なじみの今江里英《いまえりえ》(39歳・人妻)が大きなバスケットを持ってやって来た。
里英《りえ》は、満面の笑みで信包《のぶかね》を呼んだ。
「信包《のぶかね》〜」
「(信包、めんどくさい声で言う)なんだよぉ〜」
「一緒にランチを摂ろうよ〜」
「オレはこれから飯屋《ごはんや》へ行くのだよ…」
「どうしてごはんやへ行くのよ?」
「オレは食いたいものを食いたいのだよ〜」
「それじゃあよくないわよ…お肉とお野菜をバランスよく食べないと、身体をこわすわよ…一緒に食べようね。」
このあと、里英《りえ》は信包《のぶかね》と一緒に構内にある藤だなに行った。
ところ変わって、構内にある藤だなにて…
里英《りえ》は、うきうきした表情で信包《のぶかね》に言うた。
「きょうは、信包《のぶかね》の大好物をたくさん作ったわよ…えーとね…今日はね…」
信包《のぶかね》は、めんどくさい声で里英《りえ》に言うた。
「里英《りえ》。」
「なあに信包《のぶかね》。」
「お前はいいのかよ?」
「いいのかよって…」
「お前はダンナいるのだろ…」
「いるわよ。」
「なんでダンナにお弁当を作らないのだ!?」
「ダンナが拒否したからよ~」
「なんで拒否するのだよ?」
「ダンナは、上の人が注文した豪華料理がおいしいおいしいと言うているのよ。」
「お前のダンナは、職場の人とどこでメシを食ってるのだよ?」
「きょうは、中納言《ちゅうなごん》(伊勢海老中華料理の店)に行った…きのうは、大須観音の近くにある割ぽう料亭よ…その前の日は、タレントさん御用達のあの洋食屋さんへ行ったわよ…」
「あっそうかよ。」
「ダンナは、アタシがキライなのよ!!」
「本当か?」
「本当よ。」
里英《りえ》は、このあと信包《のぶかね》に対して自分のダンナの悪口をズタズタに言いまくった。
その後、里英《りえ》はやさしい声で信包《のぶかね》に言うた。
「もういいよね…ごはん食べようね。」
「里英《りえ》…」
「午後からお仕事がたくさんあるのでしょ…たくさん食べておこうね…はい…あーん…」
里英《りえ》は、信包《のぶかね》にお弁当を食べさせるなど…あれこれと世話をやいた。
(ジュー…)
またところ変わって、バンテリンドームの近くのイオンモール内にある矢場とんの調理場にて…
三重子《みえこ》は、いつも通りにみそかつを揚げるお仕事に取り組んでいた。
(サクサク…)
三重子《みえこ》は、揚げたてのみそかつを脂《あぶら》の中から引き上げたあと食べやすいサイズにカットした。
その後、キャベツが盛られているお皿にみそかつを入れた。
それから15分後であった。
お仕事がひと息ついた三重子《みえこ》のもとに女性従業員さんがやって来た。
「三重子《みえこ》さん。」
「はい。」
「しばらくの間、いい?」
「はい。」
女性従業員さんは、心配げな声で三重子《みえこ》に言うた。
「三重子《みえこ》さんは、ほんとうにダンナとリコンするつもりなの?」
「そうよ。」
「どうしてリコンするのよ?」
「ダンナが一方的にリコンしてくれと要求した…ただそれだけよ。」
「あんたのダンナに女ができたの?」
「だから、そうだと言ってるでしょ!!ダンナが『好きな女ができたからリコンしてくれ…』と言うたから、しかたなく応じたのよ!!」
「分かったわ…」
「ダンナは聞く耳をもたない性格だから協議《はなしあい》はしなかったわよ。」
「その後は、だれがお子さんたちをやしなうのよ?」
「義竜《よしたつ》とほのかは、めんどくさいからヨウシに出すことにしたわ…知永子《ちえこ》は大人だからひとりでできるけど…」
「ふたりの子は、ヨウシに出すのね…それなら、なにも言うことはないわね。」
女性従業員さんは、三重子《みえこ》にこう言うたあと休憩時間が来たことを知らせた。
その後、三重子《みえこ》はランチを摂るために外へ出た。
またところ変わって、有松のイオンタウン内にある大垣共立銀行の支店にて…
新《あらた》は、ひとことも言わずにデスクワークに取り組んでいた。
そこへ、上司の男性がもうしわけない表情で新《あらた》のもとにやって来た。
上司の男性は、もうしわけない表情で新《あらた》に言うた。
「京田くん。」
「なんでしょうか?」
「ちょっと、お知らせがあるけどいい?」
「お知らせって、なんですか?」
「たいしたことじゃないのだよ…7月1日に深瀬の社長さんにケータイを届けたよね。」
「ええ…深瀬の社長がお礼をしたいと言ってましたが、アレどうなったのですか?」
「深瀬の社長さんが『ごめんなさい…』と言うてたよ。」
「なんで深瀬の社長が『ごめんなさい』と言うたのですか?」
「深瀬の社長さんは、わざとお礼を忘れたのじゃないのだよ…お礼をするメドがたった時に急なアクシデントがあったのだよ…あの時、長女さんの結婚がハタンしたよね…深瀬の社長さんはお孫さん(29歳男性)を京田くんの長女さんに紹介しようと思っていたのだよ…その時に、お孫さんが職場恋愛で知り合ったお嫁さんをもらったと言う知らせが入ったのだよ…」
「深瀬の社長は、ヤクドシの女はいらないと言うたのですね…」
「違うのだよ…タイミングが合わなかっただけだよ〜」
「課長、もうやめてください…深瀬の社長さんに言うてください…人のおんをアダで返すのであれば考えがあると言うてください…」
新《あらた》は、はき捨てる言葉を言うたあとデスクワークに戻った。
上司の男性は、ものすごくおたついた表情デスクワークあたりを見渡した。
さて、その頃であった。
知永子《ちえこ》は、ふらついた足取りで栄の中心地を歩いていた。
通りには、若いカップルさんたちや大学生のグループたちがたくさん歩いていた。
通りのスピーカーからりりあの歌で『貴方《あなた》の側《そば》に』が流れていた。
ものすごく悲しい表情を浮かべている知永子《ちえこ》は、あてもなく栄の中心地をウロウロと歩き続けた。
今の知永子《ちえこ》は、生きる力がなかった。
この先、カノジョはどうするつもりでいるのか?