【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第8話
時は、夜7時半頃であった。

またところ変わって、新《あらた》の実家の食卓にて…

テーブルには、亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》が作った晩ごはんがならんでいた。

テーブルには、いさおと亜弥子《あやこ》と晃代《てるよ》の3人がいた。

この時、亜弥子《あやこ》はいさおの食事介護の支度をしていた。

そこへ、スーツ姿で黒の手提げを持っている新《あらた》がつかれた表情で帰宅した。

晃代《てるよ》は、怒った表情で新《あらた》に言うた。

「新《あらた》!!」
「なんだよぉ〜」
「遅いわよ!!」
「オレは今、めいてつと地下鉄を乗り継いで帰って来たばかりだよ~」
「ごはんが冷めるから早く帰りなさいと言うたでしょ!!」
「ねえさん…」
「もういいから座ってよ!!」

ものすごくつかれた表情を浮かべている新《あらた》は、ゆっくりとこしかけた。

ブアイソウな表情を浮かべている晃代《てるよ》は、瀬戸焼のお茶わんに白いごはんを…輪島塗の漆器にみそ汁をついだ。

亜弥子《あやこ》は、いさおに白がゆを食べさせていた。

白いごはんが盛られている瀬戸焼のお茶わんを受け取った新《あらた》は、みそ汁をついでいる晃代《てるよ》に言うた。

「ねえさん。」
「なによ~」
「じいじの具合はどうなの?」
「今のところは平時を保《たも》っているわよ…だけど…長くは持たないと思う。」
「長くは持たない?」

晃代《てるよ》は、みそ汁が入っている輪島塗の漆器を新《あらた》に手渡したあと新《あらた》に言うた。

「おじいちゃんは、十二指腸の一部に腫れ物があったのよ…」
「腫れ物…」
「おじいちゃんが長時間の手術に耐えることができないので、バイパスをつける手術を受けたのよ…バイパスをつけたのは応急措置だから長くもたないのよ…」

晃代《てるよ》は、白いかっぽうぎをたたみながら新《あらた》に言うた。

「このままでは、十二指腸にたまっているタンジュウが原因でからだのあちらこちらに異常を起こすおそれがあるのよ…お願いだから手術を受けてよと言うても、おじいちゃんは言うことを聞かないのよ…自分の身体を大事にできないなんて…」

この時、いさおの食事介護をしている亜弥子《あやこ》が困った声で言うた。

「晃代《てるよ》…もうやめて…おじいちゃんは…自分の身体にメスをいれるのはイヤだと言うてるのよ~」

晃代《てるよ》は、あつかましい声で新《あらた》に対して『ごはん食べなさい!!』と言うた。

新《あらた》は、輪島塗の漆器を手にしたあと白いごはんの上にみそ汁をかけたあとだまって夕食を摂った。

またところ変わって、半兵衛《はんべえ》の家族たちが暮らしている家にて…

テーブルには、半兵衛《はんべえ》と君枝《きみえ》とまりよと信包《のぶかね》と真央《まお》がいた。

テーブルの上に、真央《まお》が作った晩ごはんがならんでいた。

半兵衛《はんべえ》は、君枝《きみえ》まりよ母娘《おやこ》が帰って来た日からつまらない表情を浮かべるようになった。

新《あらた》の家族たちと晩ごはんを食べたかった…

半兵衛《はんべえ》は、そうつぶやいていたと思う。

(バーン!!)

思い切りブチ切れた半兵衛《はんべえ》は、平手打ちでバーンとテーブルをたたいたあと『おいしくない!!』と言うてひねた。

近くにいた君枝《きみえ》があつかましい声で半兵衛《はんべえ》に言うた。

「おとーさん!!わがままばかりを言わないでください!!」
「なんだと!!ワシがいつわがままを言うたのだ!?」
「おとーさんは、アタシとまりよが実家《ここ》に帰って来たことがそんなに不満なの!?」
「ああそうだよ!!」
「おとーさんは、うちら家族よりも京田《ポンコツ》の方がかわいいとうちらに言うたよね!!…と言うことは、うちらのことがうざいのね!!」
「そんなことは言うてないよ〜」
「やかましいわねクソジジイ!!」
「ちょっとやめてください!!」

たまりかねた真央《まお》が君枝《きみえ》を止めた。

「ごはん時にケンカしないでください!!」
「真央《まお》さん!!うちはおとーさんに素直になりなさいと言うただけよ!!」
「分かりましたからごはんを食べてください!!」
「うるさいわね!!…おとーさん!!」
「なんだよぉ〜」
「おとーさんと京田《ポンコツ》はどんな関係があるのよ!?」
「職場の上司と部下だよ~」
「なんで京田《ポンコツ》をカジョウにデキアイしたのよ!?」
「京田くんは、中学を卒業したあと名古屋《ここ》にやって来たのだよ…実家がビンボーだったからコーコーへ行くことができなかった…京田くんが夜学《テイジ》のコーコーへ入学する時の手続きをワシがしたのだよ…名古屋《じもと》の大学に入学する手続きもワシがしたのだよ…」
「おとーさんは困っている人を見たらほっとけない…助けるためにはうちら家族を見捨てることもいとわないと言うことね!!」
「そんなことは言うてないよ〜…君枝《きみえ》たち家族も大事だよ~」
「家族も大事とはどう言うことよ!?もう怒ったわよ!!」
「やめてくれ〜」

(ジリリリリン!!)

この時であった。

うぐいす色のプッシュホンのベルが鳴り響いた。

「アタシが出ます。」

真央《まお》は、受話器を手にしたあと話をした。

「はい、立浪でございます。」

電話は、三重子《みえこ》の実家からであった。

三重子《みえこ》の実家にて…

真由美《まゆみ》は、受話器ごしにいる真央《まお》に言うた。

「立浪さん、千種区月見坂町《ちぐさつきみざかちょう》の岡林でございます…あの…すみませんけど、お宅に知永子《ちえこ》は来ていますか?」

真央《まお》は、ものすごく困った声で答えた。

「知永子《ちえこ》さん…うちには来ていませんけど…どうかなさいましたか?」

真由美《まゆみ》は、困った声で言うた。

「ちょっと言いにくい話しだけど…1週間ぐらい前から…知永子《あのこ》…ハヤビケするようになったのです…それ以前からハヤビケとケッキンを繰り返すようになったのです。」

真央《まお》は、ものすごく困った声で言うた。

「もしもし、おくさまはなにを心配なされているのですか?」
「心配してますよ…知永子《あのこ》は他にも深刻な悩み事を抱えていたのです…7月1日に結婚披露宴場《ひろうえんじょう》で発生した事件によるショックもありましたよ…私たち親類も、知永子《あのこ》が幸せになるようにと思ってあちらこちらにたのみに行ったのよ…」
「奥さま!!」
「ちょっとごめんなさい…」

(カチャ…プルルルルルルルルルルルルルルルルル…)

この時、キャッチが入った。

受話器から着信音が聞こえた。

それから3分後であった。

(カチャ…)

キャッチが解除されたあと、真由美《まゆみ》の声が聞こえた。

「立浪さん、おまたせしました。」
「もしもし、どちらからお電話があったのですか?」
「すみません…さっき…知永子《あのこ》が勤務していたスタバから電話があったのです。」
「スタバがどうかしたのですか?」
「実は…きょうの午後、知永子《あのこ》が男性客《きゃくのおとこ》にタンブラーで頭を殴られたのです…」
「暴力をふるわれた?…なんで?」

真央《まお》は、知永子《ちえこ》が勤務中に男性客《きゃくのおとこ》に暴力をふるわれたことを真由美《まゆみ》から聞いたのでおどろいた。

話は、7時間前のことであった。

場所は、港東通りにあるスタバにて…

知永子《ちえこ》は、お客の応対をしていた。

この時、都市《まち》のお見合い事業の事務局の人とお見合いに来た男女《ふたり》がいた。

男女《ふたり》は、コーヒーと一緒にいただくケーキをどれにしようか迷っていた。

おりわるくこの時、後ろに問題の男性客《おとこ》がいた…

男女《ふたり》が食べるケーキをどれにしようかと迷い続けたことが原因で、男性客《おとこ》の怒りがチクセキされた。

やっとばんが回ったときだった。

男性客《おとこ》は、ものすごく怒った声で知永子《ちえこ》に言うた。

「おい!!」
「なんでしょうか?」
「あれはなんや!?」
「男女《おふたり》は食べるケーキをどれにしようかと迷っていたのですよ。」
「ふざけるな!!」

(ガーン!!)

男性客《おとこ》は、アルミのタンブラーで知永子《ちえこ》の頭を激しく殴りつけた。

(パチーン!!パチーン!!パチーン!!)

その後、知永子《ちえこ》は男性客《おとこ》から平手打ちで顔を3回叩かれた。

暴力をふるわれた知永子《ちえこ》は、泣きながら店から飛び出した。

…………

…と言うことがあったようだ。

ところ変わって、三重子《みえこ》の実家にて…

真由美《まゆみ》は、困った声で受話器ごしにいる真央《まお》に言うた。

「…と言うことがあったのです。」

半兵衛《はんべえ》の家族が暮らしている家にて…

電話の応対をしている真央《まお》は、困った声で言うた。

「お話は分かりました…おくさま…話はかわりますけど…知永子《ちえこ》さんはスマホを持っていますか?…えっ、持たずに出て行ったって…もしもし、もしもし…」

この時、受話器の向こう側で勝《まさる》の怒鳴り声が聞こえた。

「三重子《みえこ》!!こんな時間までどこにいたのだ!?」

真央《まお》は、困った声で言うた。

「もしもし、三重子《みえこ》さんがお帰りになられたのですね…すみませんけど、三重子《みえこ》さんと代わってください!!」

一体、なにがあったのだ…

真央《まお》は、ものすごく不安な表情でつぶやいた。

受話器ごしに勝《まさる》の怒鳴り声が響いた。

「三重子《みえこ》!!今すぐに電話に出ろ!!」
「あとにして…」
「今すぐに出ろ!!」

ちょっと…

いつまで人をまたすつもりよ…

真央《まお》は、いらついた表情でつぶやいたあと怒った声で言うた。

「もしもし!!三重子《みえこ》さんに代わってください!!いつまで人をまたすのですか!?もしもし!!」

(ガチャーン!!)

この時、思い切りブチ切れた君枝《きみえ》が電話をガチャーンと切った。

真央《まお》は、君枝《きみえ》を問い詰めた。

「なんで電話を切るのですか!?」
「やかましいわね!!どこへ電話していたのよ!?」
「三重子《みえこ》さんの実家から電話があったのです!!」
「なんで京田《ポンコツ》の嫁の実家がうちに電話をかけてきたのよ!?」

(ジリリリリン!!ジリリリリン!!)

またうぐいす色のプッシュホンのベルが鳴り響いた。

君枝《きみえ》は、いらついた声で『また電話!!』と言うた。

真央《まお》は、電話に出ようとした。

君枝《きみえ》は、電話に出るなと言うた。

「出ないで!!」
「君枝《きみえ》さん!!」
「京田《ポンコツ》の嫁の実家だったら切りなさいよ!!」
「分かりました!!」

真央《まお》は、受話器をあげたあと話をした。

「もしもし立浪でございます…もしもし…義竜《よしたつ》くんとほのかちゃんがお風呂の中で大やけどを負ったあと…心肺停止におちいったって…もしもし!!」

この時、義竜《よしたつ》とほのかが浴室の浴槽の横に設置されていた機械にふれたことが原因で大やけどを負った事故が発生した。

義竜《よしたつ》とほのかは、救急車で千種区内《くない》にある救急病院に搬送された。

時は、深夜11時55分頃であった。

またところ変わって、岐阜県恵那市にある森林にて…

スタバから飛び出したあと行方不明になった知永子《ちえこ》が栄の中心地でナンパしてきた男二人に無理やり車にのせられたあと、ここに連れてこられた。

知永子《ちえこ》は、男二人によって腐葉土《じめん》に倒された。

知永子《ちえこ》は、必死になって叫んだ。

「やめて!!やめてやめてやめてやめてやめて!!」

(ビリビリビリビリビリビリビリビリビリビリ!!)

男は、持っていた刃渡りのするどいナイフで着ていた制服のブラウスを斬《き》り裂いた。

もうひとりの男は、下に着ていたうすいブルーのパンツを無理やり脱がした。

「やめて!!イヤァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」

それから300分後であった。

知永子《ちえこ》は、男二人に犯されたあと死亡した。

死亡した知永子《ちえこ》は、男二人によって土に埋められた。

同じ頃、救急搬送された義竜《よしたつ》とほのかが死亡した。

三重子《みえこ》は、勝《まさる》と真由美《まゆみ》からズタズタになじられたことを苦に家出をしたあと行方不明になった。

これにより、新《あらた》は大事な家族を喪《な》くした。
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