【辛口ヒューマンドラマ】私のしあわせな結婚−32
第9話
時は、10月15日の午前11時過ぎであった。

またところ変わって、名古屋市南区にある新築の家にて…

新築の家は、新《あらた》の家族たちが移り住む予定であったがやくざの男たち30人が押しかけて来たので住めなくなった。

(ドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスンドスン!!)

やくざの男たちが右足でドアをけとばしながら怒鳴り声を上げていた。

「オドレ新《クソガキャ》!!」
「出てこいや!!」
「オドレ新《クソガキャ》!!ぶっ殺すぞ!!」
「金返せ!!」
「ドロボー!!」

この時、竹宮が家にやって来た。

「どないなってんねん?」
「京田新《あのクソガキ》は、逃げたようです!!」
「ああ分かった…」

(カチャカチャカチャカチャカチャカチャカチャ…)

このあと、竹宮はハリガネを使ってカイジョウした。

(ペタ…)

その後、玄関のドアにダイモン入りの事務所のカンバンを貼りつけた。

(ガチャ…)

その後、竹宮は玄関のドアをあけた。

「おうお前ら、きょうからここは田嶋《うち》のものだ…おめーら、出入りしてもいいぞ。」
「へえおおきに。」
「ありがとうごぜえやす。」

このあと、やくざの男たちが次々と新築の家に上がり込んだ。

竹宮は、ニヤニヤした表情で変わり果てた新築の家を見つめながらつぶやいた。

あわれよのぉ〜…

頭の悪い京田新《クソガキ》に新築の家なんかねこにコバンや…

今夜は…

京田新《クソガキ》のなげきの表情《つら》を想像しながら酒のみまひょか…

ヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒヒ…

時は、午後3時半頃であった。

またところ変わって、前浜通りにある大型病院にて…

絹代《きぬよ》が入院している病室に絹代《きぬよ》とまりよがいた。

まりよは、白のTシャツとうすいブルーのデニムパンツの上からパステルピンクの花がらのエプロンを着けていた。

まりよは、新しいお花が入っているかびんを台の上に置いたあとやさしい声で絹代《きぬよ》に言うた。

「お花ができたよ。」
「ありがとう…」

絹代《きぬよ》は、つらい声でまりよに言うた。

「まりよ。」
「なあにおばあちゃん。」
「どうして短大に行かないの?」
「おばあちゃん、それは言わないでと言うたわよ!!」

まりよにたしなめられた絹代《きぬよ》は、つらい声で言うた。

「でもやっぱりよくないわよ。」
「おばあちゃん!!アタシは短大の一回生の単位があるのよ…短大やめても大学の二回生に編入できるのよ!!」
「でも、やめるのはもったいないわよ。」

そこへ、君枝《きみえ》が大きなエコバッグを持って病室に入った。

エコバッグの中には、絹代《きぬよ》が着ていた肌着類がたくさん入っていた。

「ただいま。」
「おかあさんおかえり。」
「おばあちゃんの肌着をたたんでね。」
「うん。」

まりよは、君枝《きみえ》からエコバッグを受け取ったあと中に入っている肌着類の整理を始めた。

絹代《きぬよ》は、君枝《きみえ》に対して困った声で言うた。

「絹代《きぬよ》。」
「おかあさん。」
「あんたはこのままでいいの?」
「おかーさん、まりよはおばあちゃんの病気が治るようにと思いながらカンビョウしているのよ!!」
「それは分かってるわよ…」
「短大をやめても、大学二回生に編入することはできるのよ!!」
「それくらい分かってるわよ…」
「分かっているのだったらガーガー言わないでよ!!」
「だけど…せっかく入ることができた短大をやめるのはもったいないわよ…」
「おかーさん!!」

君枝《きみえ》は、ものすごくいらついた声で絹代《きぬよ》に言うた。

「うちも、まりよと同じくおかーさんが元気になってほしいから名古屋《ここ》に帰って来たのよ!!」
「気持ちは分かるけど…」
「ダンナとうちは、疲れているだけよ!!」
「ほんとうに?」
「おかーさん!!」
「君枝《きみえ》…」
「おかーさんはいらないことを考えずに、病気を治すことだけを考えてよ!!」
「分かったわよ~」

君枝《きみえ》に怒鳴られた絹代《きぬよ》は、イシュクした表情を浮かべた。

君枝《きみえ》とまりよは、夕方5時半頃まで病院に滞在した。
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