君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。

give3.)

「山下、学校は慣れたか?」

職員室に呼ばれて何事かと思えば担任の小泉(こいずみ)先生に言われた第一声がこれだった。

「転校して2週間だろ、友達は出来たか?」

「……はい」  

たぶん小泉先生も仕事上こうゆうことは聞かなきゃいけないと思う、だから私も生徒上出来る返答をした。

「そうか、ならいいけど。まだわからないことたくさんあると思うから、どんどん頼っていいんだからな!」

「…はい」

はち切れそうなTシャツの袖から出て来た腕はガッチリ強そうで、そのせいもあってか熱くて無駄に圧を感じてしまう…嫌な先生ではないけど。

「この学校はみんないい子だぞ!田舎っていいとろこだからな!」

私の前住んでいたところはビルがたくさんあった。車も通っていたけど電車もいっぱい通っていて、どこにでもコンビニがあった。


でもここはのどかって言葉がよく似合う、そんな場所だ。

だからかな、ものさみしい気がしてしまうのは。


「失礼しました」

本当これだけの用だとは思わなかった。

じゃあ気を付けて帰れよって職員室から出されるとは、こんなことでわざわざ呼び出されるんだ…。

はぁっと息を吐いて廊下の窓から外を見る。

もう下校時間、声は聞こえなくても伝わる雰囲気は賑やかそうで。

楽しそうに笑ってる、みんな。

「…帰るか」

1人で。

別にこれもいつものことだから、もう慣れたけど。

慣れたよ、小泉先生。
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