君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
靴を脱いで揃えた。

なんでこんな時でも揃えて置きたくなっちゃうんだろ、いかにもっぽくてちょっとあれなんだけど…まぁいいかもうこの靴さえも私に関係なくなるんだからね。

すぅっと一呼吸して、このまま防波堤から海に…っ


「あーっ、ここは飛び込み禁止だよ!?」


両足揃えて飛び込もうと思ったのに後ろから叫ばれてただ屈伸しただけみたいになっちゃった。

誰?叫んだの?

全然知らない声、絶対私とのことも知らないでしょ放って置いてほしいんだけどー…

「あ、その制服西中でしょ?ここで飛び込んだら怒られるよ!」

振り返ってみると私と変わらないぐらいの男の子でめちゃくちゃこっちを指差してた。

なんか失礼じゃない?
そんな思いっきり指差さなくてもさ!

「ほら書いてあるでしょ、ここは遊泳と飛び込み禁止なの!」

「…わかってるけど」

「わかってないよね?飛び込もうとしてたんだから」

何この子、なんでそんな説教みたいなこと言われなきゃいけないの?
別にここで私が何しようか私の勝手でしょ!

しかもこうして靴揃えて脱いで置いてあるの、見てわかんない?
わかるよね、今から私がしよとしてたことが何かって!

「わかってて飛び込もうとしてたの!」

防波堤のから海に飛び込めば簡単には上がって来られない。
底は深いし、穏やかに見えて波は力がある、こんなとこに荷物も靴も隣に置いて飛び込もうとしてるなんて思い付くのは1個しかないでしょ!?

「え…」

「そーゆうことだからほっといて!」

「まだ海開きには早いよ!?」

「違う!別に遊びたくて飛び込もうとしたんじゃないの!」

なんでこれで終わりにしようって思ってるのにいちいち突っかかってくるかなぁ、もうイライラするっ!!


「ここで死のうと思ってたの!」


つい声が大きくなっちゃった。

でもいいや、誰に聞かれても困ることなんてないもん。


もう死ぬんだし、私…
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