君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。

give2.)

こっちに来てからずっと切っていたスマホの電源を入れた。電話もメールもLINEも来ていなかったけど。

「…今日の波は無、って感じだね」

屋根付きのベンチに座ってテーブルにノートを広げて、ぼけーっと海の方を見ていたら眠くなりそうだった。

どこにいても勉強をしようとすると眠くなるのかな、遊びの自由研究だけどこれ。

自販機で買ったペットボトルの蓋を開ける、あんまりお金がないから1番安い水にした。

十分おいしいし、水。

「………。」

海風はちょっと潮が気になるけど、涼しくてずっとここにいられるくらい心地いい…

「柊真、遅いなぁ」

今日は一段と遅かった。

今日は来ないのかな、来ないなら来ないでいいんだけどでも何も聞いてないしどうしたのかなとかなんかそーゆう…

連絡先も知らないし。
聞いておけばよかったかな、でもずっとスマホの電源切ってたからなぁ。

もうスマホなんか見たくなかったから。もう…

「千和っ」

「柊真!」

「ごめっ、遅くなっ…て…」

「全然いいけど…」

来るや否やすぐにベンチに座って顔を伏せた。はぁはぁと小刻みに震えるみたいに息をして、苦しそうな息の仕方だった。

「どうしたの?何かあったの…!?」

背中にはリュックを背負って、でも全然下ろそうとしない。下ろすことも出来ないみたいな。

「うう…ん、ちょっと…っ」

「何っ、どうした…っ」

ふいに思うのは病気のこと、でもそれはもう交換したから柊真には関係ないはずー…!

「友達と遊んでた」

「……。」

「ごめんね、だから来るの遅くなっちゃって」

「……ほぅ」

私と約束しといてそれかい。

いいけど、全然いいけど。


そりゃ柊真には友達と他にいるだろうからね、全然いいけど!


てゆーかもう約束なんかしてないもんね、なんかここに来たら柊真に会えると思って私が勝手に毎日来てるだけだから…
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