君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
お母さんの部屋の前から離れて自分の部屋まで、駆け込んでドアを閉める。

こんな時でも音を立てないようにって考えてる自分が嫌になる。

「…っ」


どうして私は…


溢れそうになる涙をしまって背中からリュックを下ろす、今日はもうどこへも行くところがないから。

「あ、スマホ充電しっぱなしだった…」

久しぶりに電源を入れたから充電しようと思ってコンセントに差したままだった。電池の満タンになったスマホを充電器から外して画面を開いた。

…何も来てない、か。

そのままもう一度電源を落とした。

もう誰も私に連絡なんかして来ないよね。

こっちに来て連絡先を交換した子はいないし、前の学校の子は…もう私に送って来ないと思うから。

電源の切ったスマホを引き出しに入れた。

もう必要ない、そう思って。


今日は柊真と約束をしてない。

今日はあの防波堤で会えない。

“オレ明日も友達と約束しちゃって、明後日も…わかんないけどまたここ来るからさ!”



柊真に会いたかった。
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