君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
夕飯には帰って来なさいって言われてたのにちょっとだけ遅くなっちゃった。

でもおばあちゃんは何も言わなくて、きっとぐちゃぐちゃの顔の私も見てわかったんだと思う。

たぶんおばあちゃんもわかってた。

テーブルの上にすでに並べられていた食器は全部2つずつあって、盛り付けられて冷めちゃってた肉じゃがをおばあちゃんが温め直してくれた。


それがすごくおいしかった。 

すごくすごくおいしかった。


味がしたご飯はいつ振りだったのかな。


もうご飯を食べることもめんどくさいと思ってた。


泣きながら食べた肉じゃがは私を思い出させてくれた。


泣くほどおいしかったならまた作ってくれるっておばあちゃんが言った。

おばあちゃんは少し気まずそうだったけど、涙ぐみながら少しだけ笑ってた。


今度はお母さんも一緒にって。


ここでそんなふうに暮らせたら、今度はここでそんなふうになれたら…



少しでも長く。私が死ぬまで。
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