君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
それからは大橋先生といつもと変わらない会話をして病院から出て来た。
本当はもっと聞きたかったけど、何を聞いたらいいのかわからなくて…
思えば私は柊真の名前と病気ってことぐらいしか知らない。
名前だって苗字は知らないし、だから本当にあの柊真なのか知るすべがなくて…
だってまだわからないよね?
本当に私の知ってる柊真かどうかは…
「千和」
つい考えこんじゃって名前を呼ばれてハッとした。
「あ、何?おばあちゃん…っ」
箸でご飯掴んだままぼぉーっとしてた。
「…豆ご飯はもうやめるわ」
「え、なんで!?」
「好きじゃないんでしょう」
「そんなことないよ!好きだよ、ってゆーか初めて食べたけどすごいおいしい!おばあちゃんの作るものは何でも…っ」
あ、やばい。なんか恥ずかしい。
豆ご飯と顔を見合わせるみたいに固まってたから好きじゃないって思われたんだ、でもすっごいおいしかったからそれを言いたくて…必死になっちゃった恥ずかしい。
「…それならよかったわよ」
おばあちゃんも小恥ずかしいそうに豆ご飯を口に入れてた。
おばあちゃんが作ってくれるものは本当に何でもおいしくて食べ過ぎちゃうくらい、だからここ数日でちょっと体重も増えたよね。
体重って正直なんだなぁ。
………あれ?
ここずっと毎日いっぱいご飯を食べてる。
おばあちゃんが作るご飯はおいしいし、1人じゃない食卓は食欲も進んで、お腹も満たされて…
もうずっとお腹が痛い日がない。
それはどうして?
あんなに痛かったのに、今はもう全然…
それどころか食べられるようになってる。
これはどうゆうことなんだろう。
これはどうゆうこと…?
「………。」
考えても考えてもわからなくて、やっぱり聞くのが1番だと思った。
学校のホームルームが終わって家庭科室を探した、手芸部の新入部員募集のチラシを持って。
…ここだよね、家庭科室。
家庭科でたまに使うけど、まだそんなに来たことないしいきなり入っていっていいものなかな緊張する…
「…ふぅ」
深呼吸をして家庭科室のドアをノックしようとっ
「入部希望者!?」
ノックする前にドアが開いて、中から人が出て来た。私より少し背が高くて、上履きを見る限りきっと先輩だ。
「大橋せんせ~!人来た!!!」
えぇぇっ
そんなざっくり…!?
来たのは確かだけど、来てよかったかなここ…っ
「あ、山下さん!来てくれたんだ!」
でも大橋先生の顔は安心する。わぁってわかりやすく明るい顔で出迎えてくれたから。
「いらっしゃい、さぁ入って入って」
「失礼します…」
ゆっくーり中に入った。入部したくて来たわけじゃないけど、一応ここへ来たわけだから。
「こちら部長の金見さん、副部長の須田さん」
「3年の金見千鶴、部長やってます!」
「1年の須田希枝です、あの1年なんですけど副部長やってて…」
「いないからね、あたしと希枝しかね」
それなりに広い家庭科室の真ん中で1つのテーブルに集まってた。これから使うのかなって材料とか道具とか置いてあったけど、こじんまり1箇所に集められてた。
「でも楽しいよ~!」
“数は少ないんだけど雰囲気はいいし、毎日みんなでコツコツ楽しいよ”
一瞬で雰囲気は伝わった気がした。
「えっと、山下…」
「あ、山下千和です!2年です!」
「千和ちゃんね!かぎ針編みって知ってる?」
「かぎ針編み…?」
「かぎ針って言う道具を使ってする編み物なんだけどね」
「あ、かぎ針はこれです!」
金見先輩が説明をしてくれた隣で須田さんが持って来てくれた。
これがかぎ針?針って言うような鋭さはなくて、長細い棒の頭の方がくるんって丸みを帯びてる。
「これで毛糸を編んでくの!」
これで…
どうやって編むんだろ?
「これもかぎ針編みで作ったんだよ」
大橋先生とが胸ポケットのブローチを指差した。
手作りだとは思ってたけどこれで作ったんだ!え、これでどうやって!?
「千和ちゃんもやってみない?」
本当はもっと聞きたかったけど、何を聞いたらいいのかわからなくて…
思えば私は柊真の名前と病気ってことぐらいしか知らない。
名前だって苗字は知らないし、だから本当にあの柊真なのか知るすべがなくて…
だってまだわからないよね?
本当に私の知ってる柊真かどうかは…
「千和」
つい考えこんじゃって名前を呼ばれてハッとした。
「あ、何?おばあちゃん…っ」
箸でご飯掴んだままぼぉーっとしてた。
「…豆ご飯はもうやめるわ」
「え、なんで!?」
「好きじゃないんでしょう」
「そんなことないよ!好きだよ、ってゆーか初めて食べたけどすごいおいしい!おばあちゃんの作るものは何でも…っ」
あ、やばい。なんか恥ずかしい。
豆ご飯と顔を見合わせるみたいに固まってたから好きじゃないって思われたんだ、でもすっごいおいしかったからそれを言いたくて…必死になっちゃった恥ずかしい。
「…それならよかったわよ」
おばあちゃんも小恥ずかしいそうに豆ご飯を口に入れてた。
おばあちゃんが作ってくれるものは本当に何でもおいしくて食べ過ぎちゃうくらい、だからここ数日でちょっと体重も増えたよね。
体重って正直なんだなぁ。
………あれ?
ここずっと毎日いっぱいご飯を食べてる。
おばあちゃんが作るご飯はおいしいし、1人じゃない食卓は食欲も進んで、お腹も満たされて…
もうずっとお腹が痛い日がない。
それはどうして?
あんなに痛かったのに、今はもう全然…
それどころか食べられるようになってる。
これはどうゆうことなんだろう。
これはどうゆうこと…?
「………。」
考えても考えてもわからなくて、やっぱり聞くのが1番だと思った。
学校のホームルームが終わって家庭科室を探した、手芸部の新入部員募集のチラシを持って。
…ここだよね、家庭科室。
家庭科でたまに使うけど、まだそんなに来たことないしいきなり入っていっていいものなかな緊張する…
「…ふぅ」
深呼吸をして家庭科室のドアをノックしようとっ
「入部希望者!?」
ノックする前にドアが開いて、中から人が出て来た。私より少し背が高くて、上履きを見る限りきっと先輩だ。
「大橋せんせ~!人来た!!!」
えぇぇっ
そんなざっくり…!?
来たのは確かだけど、来てよかったかなここ…っ
「あ、山下さん!来てくれたんだ!」
でも大橋先生の顔は安心する。わぁってわかりやすく明るい顔で出迎えてくれたから。
「いらっしゃい、さぁ入って入って」
「失礼します…」
ゆっくーり中に入った。入部したくて来たわけじゃないけど、一応ここへ来たわけだから。
「こちら部長の金見さん、副部長の須田さん」
「3年の金見千鶴、部長やってます!」
「1年の須田希枝です、あの1年なんですけど副部長やってて…」
「いないからね、あたしと希枝しかね」
それなりに広い家庭科室の真ん中で1つのテーブルに集まってた。これから使うのかなって材料とか道具とか置いてあったけど、こじんまり1箇所に集められてた。
「でも楽しいよ~!」
“数は少ないんだけど雰囲気はいいし、毎日みんなでコツコツ楽しいよ”
一瞬で雰囲気は伝わった気がした。
「えっと、山下…」
「あ、山下千和です!2年です!」
「千和ちゃんね!かぎ針編みって知ってる?」
「かぎ針編み…?」
「かぎ針って言う道具を使ってする編み物なんだけどね」
「あ、かぎ針はこれです!」
金見先輩が説明をしてくれた隣で須田さんが持って来てくれた。
これがかぎ針?針って言うような鋭さはなくて、長細い棒の頭の方がくるんって丸みを帯びてる。
「これで毛糸を編んでくの!」
これで…
どうやって編むんだろ?
「これもかぎ針編みで作ったんだよ」
大橋先生とが胸ポケットのブローチを指差した。
手作りだとは思ってたけどこれで作ったんだ!え、これでどうやって!?
「千和ちゃんもやってみない?」