君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
give6.)
「千和、今日はお昼には帰って来るのよね」
「うん、学校は午前中だから!あ、でも帰りに柊真のとこ寄って来ようかなって…」
夏休み中2回ある出校日の2回目、制服に着替えるのもちょっとだけ久しぶりでなんか違和感だ。毎日Tシャツでラクな格好しちゃってたからかなぁ。
「そっか、じゃあ柊真くんによろしくね」
「うん、いってきます!」
「いってらっしゃい」
リュックを背負って家を出る。
少しづつお母さんとの関係も、悪くはないかなって感じで。
学校へ向かうこの道も慣れて来たし。
今日は猛暑だってニュースでやってた。朝なのにもう汗がじんわりするぐらい暑くて、ちょっと憂鬱になりそう。
だけど太陽を照り返すアスファルトもないし、風の軌道を邪魔するビルもない。
のどかでゆったりしてる。
「すご!雲全然ないじゃん!」
見上げればキレイなスカイブルーが広がっていた。
案外嫌いじゃないかもしれないなぁ。
なんなら好きかもね、この町も。
学校は変わらず1人だけど。
柊真が学校来られたらなぁ、隣の隣のクラスでも放課とかは一緒にいられたかもしれないのに。
「千和ちゃんおはよ~!」
…え?千和ちゃん?
学校で私のこと呼ぶ人なんか…
「か、金見先輩!?」
「あー、覚えててくれた~?そうそう、手芸部の金見~!」
「おはようございますっ」
学校の玄関に入って自分のクラスの下駄箱へ向かおうとした時に話しかけられてびっくりしちゃった。
あいさつしてくれるんだ、あんなちょっと部活に参加しただけの私に。
「あ、希枝もおはよ~!」
「金見先輩、山下先輩おはようございます」
「…おはようございます」
同じように登校して来た1年の須田さんに金見先輩はぶんぶんと手を振って、2人とも私の周りにやって来た。私手芸部でも何でもないのに。
「今日めっちゃやばいよね、暑すぎじゃない?しんどい!」
「久しぶりの学校ですしね」
「ね~、早く帰りたいね~!あ、部活は楽しみだけど!」
なんて会話を私の前で繰り広げて。
えっと、これどうしたらいいの?
私ここにいておかしくない、それとも何か…?
「千和ちゃんは暑いの好き?」
「いえっ、そんなに…」
「あまり好きな人はいないんじゃないですかねぇ」
「確かに!」
あははと笑って金見先輩がじゃあねと手を振って3年生の下駄箱の方へ走って行った、須田さんもぺこりと頭を下げて1年生の教室へ…
あ、本当にこれだけだったんだ!
ただおはようって、言ってくれただけ…
なんかくすぐったいな。
こんなの、いつぶりだろう…
こっちに来て初めてだ。
思わず顔がほころぶ、こんなにも嬉しくなっちゃう自分がいるなんてね。
少しずつ好きになれて来た。
すべてが嫌じゃないって思えるようになって来た。
だからもう少しここで、私…
「うん、学校は午前中だから!あ、でも帰りに柊真のとこ寄って来ようかなって…」
夏休み中2回ある出校日の2回目、制服に着替えるのもちょっとだけ久しぶりでなんか違和感だ。毎日Tシャツでラクな格好しちゃってたからかなぁ。
「そっか、じゃあ柊真くんによろしくね」
「うん、いってきます!」
「いってらっしゃい」
リュックを背負って家を出る。
少しづつお母さんとの関係も、悪くはないかなって感じで。
学校へ向かうこの道も慣れて来たし。
今日は猛暑だってニュースでやってた。朝なのにもう汗がじんわりするぐらい暑くて、ちょっと憂鬱になりそう。
だけど太陽を照り返すアスファルトもないし、風の軌道を邪魔するビルもない。
のどかでゆったりしてる。
「すご!雲全然ないじゃん!」
見上げればキレイなスカイブルーが広がっていた。
案外嫌いじゃないかもしれないなぁ。
なんなら好きかもね、この町も。
学校は変わらず1人だけど。
柊真が学校来られたらなぁ、隣の隣のクラスでも放課とかは一緒にいられたかもしれないのに。
「千和ちゃんおはよ~!」
…え?千和ちゃん?
学校で私のこと呼ぶ人なんか…
「か、金見先輩!?」
「あー、覚えててくれた~?そうそう、手芸部の金見~!」
「おはようございますっ」
学校の玄関に入って自分のクラスの下駄箱へ向かおうとした時に話しかけられてびっくりしちゃった。
あいさつしてくれるんだ、あんなちょっと部活に参加しただけの私に。
「あ、希枝もおはよ~!」
「金見先輩、山下先輩おはようございます」
「…おはようございます」
同じように登校して来た1年の須田さんに金見先輩はぶんぶんと手を振って、2人とも私の周りにやって来た。私手芸部でも何でもないのに。
「今日めっちゃやばいよね、暑すぎじゃない?しんどい!」
「久しぶりの学校ですしね」
「ね~、早く帰りたいね~!あ、部活は楽しみだけど!」
なんて会話を私の前で繰り広げて。
えっと、これどうしたらいいの?
私ここにいておかしくない、それとも何か…?
「千和ちゃんは暑いの好き?」
「いえっ、そんなに…」
「あまり好きな人はいないんじゃないですかねぇ」
「確かに!」
あははと笑って金見先輩がじゃあねと手を振って3年生の下駄箱の方へ走って行った、須田さんもぺこりと頭を下げて1年生の教室へ…
あ、本当にこれだけだったんだ!
ただおはようって、言ってくれただけ…
なんかくすぐったいな。
こんなの、いつぶりだろう…
こっちに来て初めてだ。
思わず顔がほころぶ、こんなにも嬉しくなっちゃう自分がいるなんてね。
少しずつ好きになれて来た。
すべてが嫌じゃないって思えるようになって来た。
だからもう少しここで、私…