君の見えない明日を、君の命に変えることができたなら。
give7.)
あれから夏休みが終わって新学期が始まった。
2学期もあたりまえに日々は流れて。
「山下さん、上手に描けてたね」
「大橋先生…!」
「さっき1組の方見てたけど、山下さん惜しかったね~銀賞だったね!」
先週写生大会があった。私たち2年生は海の絵がテーマだった。
「ありがとうございます」
2回目だからね、海の絵描くの。
「あの、大橋先生これ…」
それぞれの教室の前にはクラスメイト全員の絵が貼り出され、誰でも見えるようになっている。
だから自分のクラスだけじゃなく隣のクラスも隣の隣のクラスも、みんなの作品が見られて。
「あ、これね」
上から順番に名簿順に貼り出されるから、天井の一番近いところにあった。
「青柳くんの作品」
柊真の描いた海の絵が。
しかも隣に金色のシールが貼ってあるってことは、金賞だったんだすごい。
「青柳くんもよく描けてるよね」
それはそれは見覚えのある絵だった。
海と向こう側に見える島とそこへ続く橋が描かれた、あの日一緒に描いた絵。
でも少しだけ違った。1箇所だけ変えられていた。
「ホリゾンブルー」
「え…」
「ってどうゆう意味なのかなぁ、青柳くんが付けたこの絵のタイトル」
柊真の名前の隣に書いてあった。
確か前に言っていた。
「スカイブルーよりも少し薄いやわらかい青…だったと思います」
「そうなんだ、山下さん詳しいね」
「いえ、全然…っ」
ただ聞いただけだから、そんなこと言ってたなぁって。青は200種類以上あるって言ってたぐらいだから青色好きなのかなって思ってたし。
「じゃあこの人は青柳くんの大切な人なんだろうね」
「え…?」
“千和はホリゾンブルーって感じだね!”
私の知らない、付け加えられた橋の上には1人の女の子がたたずんでいた。
橋から海を見つめ、後ろ姿だったから顔は見えないけど。
「やわらかさには温かさを感じるけど、薄くてやわらかいって言うとどこか寂しい気もして消えてしまいそうな切なさもある」
…柊真が私をそんなふうに例えたのはやっぱそうゆうところだったのかな。
実際消えようとしてたしね、どこまでも心配してくれるんだね。
「でも僕は本当はこうなんじゃないかなぁって思う」
「…何ですか?」
顔を上げた、大橋先生を見るように。
にこりと優しく微笑んだ。
「愛しさ」
もう一度絵を見た。
そこに描かれた女の子は泣いてるの?
怒ってるの?
笑ってるの?
今、しあわせ?
「大切だったんだろうね、彼女の周りは特に丁寧に色が塗られていて愛に溢れてる」
私はきっとこれから…
ポロッと流れた涙を拭いた。
もう少し一緒にいたかったけど、私のしあわせには柊真もいてほしかったけど…
たくさん優しくしてもらったから。
私も誰かに優しく出来る人になりたい。
だからまずは一歩踏み出して見ようと思うんだ。
「大橋先生、私手芸部入ってもいいですか?」
2学期もあたりまえに日々は流れて。
「山下さん、上手に描けてたね」
「大橋先生…!」
「さっき1組の方見てたけど、山下さん惜しかったね~銀賞だったね!」
先週写生大会があった。私たち2年生は海の絵がテーマだった。
「ありがとうございます」
2回目だからね、海の絵描くの。
「あの、大橋先生これ…」
それぞれの教室の前にはクラスメイト全員の絵が貼り出され、誰でも見えるようになっている。
だから自分のクラスだけじゃなく隣のクラスも隣の隣のクラスも、みんなの作品が見られて。
「あ、これね」
上から順番に名簿順に貼り出されるから、天井の一番近いところにあった。
「青柳くんの作品」
柊真の描いた海の絵が。
しかも隣に金色のシールが貼ってあるってことは、金賞だったんだすごい。
「青柳くんもよく描けてるよね」
それはそれは見覚えのある絵だった。
海と向こう側に見える島とそこへ続く橋が描かれた、あの日一緒に描いた絵。
でも少しだけ違った。1箇所だけ変えられていた。
「ホリゾンブルー」
「え…」
「ってどうゆう意味なのかなぁ、青柳くんが付けたこの絵のタイトル」
柊真の名前の隣に書いてあった。
確か前に言っていた。
「スカイブルーよりも少し薄いやわらかい青…だったと思います」
「そうなんだ、山下さん詳しいね」
「いえ、全然…っ」
ただ聞いただけだから、そんなこと言ってたなぁって。青は200種類以上あるって言ってたぐらいだから青色好きなのかなって思ってたし。
「じゃあこの人は青柳くんの大切な人なんだろうね」
「え…?」
“千和はホリゾンブルーって感じだね!”
私の知らない、付け加えられた橋の上には1人の女の子がたたずんでいた。
橋から海を見つめ、後ろ姿だったから顔は見えないけど。
「やわらかさには温かさを感じるけど、薄くてやわらかいって言うとどこか寂しい気もして消えてしまいそうな切なさもある」
…柊真が私をそんなふうに例えたのはやっぱそうゆうところだったのかな。
実際消えようとしてたしね、どこまでも心配してくれるんだね。
「でも僕は本当はこうなんじゃないかなぁって思う」
「…何ですか?」
顔を上げた、大橋先生を見るように。
にこりと優しく微笑んだ。
「愛しさ」
もう一度絵を見た。
そこに描かれた女の子は泣いてるの?
怒ってるの?
笑ってるの?
今、しあわせ?
「大切だったんだろうね、彼女の周りは特に丁寧に色が塗られていて愛に溢れてる」
私はきっとこれから…
ポロッと流れた涙を拭いた。
もう少し一緒にいたかったけど、私のしあわせには柊真もいてほしかったけど…
たくさん優しくしてもらったから。
私も誰かに優しく出来る人になりたい。
だからまずは一歩踏み出して見ようと思うんだ。
「大橋先生、私手芸部入ってもいいですか?」