ハイドランジア





「──なぁ、」

「なっ、なに?」

「おまえ肩濡れすぎだって。持ち主が俺より濡れてんのフツーに気まづい」



朔くんから指摘を受けて左肩をみたら、有り得ないくらいにびっちゃびちゃ。



今更じんわり雨水のぬるさが肌に伝わってちょっとだけ居心地わるくなるけれど、濡れたことなんかより朔くんが気づいてくれたことが何より嬉しくて

濡れた気持ちわるさなんかどこかに溶けてしまったような気さえした。



傘の中棒を指先でコツン、と私側に重心をかけて、濡れないようにしてくれる。



ぶっきらぼうだけど、そんな優しさがたまらなく好き、




だった。




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