ハイドランジア
「朔くん、好きな人……いるんだよね」
喉の奥からじわ、と熱いものがせり上がる。
自分で口にした瞬間鼻の奥がツン、として
咄嗟に唇を噛んだ。
だけど、
「…………泣いてんの?」
「ご、めなさっ…」
「え?なん、つーか、好きな人ってなに?」
朔くんが歩みを止める。
それから、いつも表情の変化がほとんどない朔くんが、ひどく戸惑った顔で私の顔を覗きこんだ。
こんな状況でも、
ときめいてしまってごめんなさい。