ハイドランジア



「……牧野くんが、朔くん好きな人いるって。偶然聞いちゃって、」


朔くんの黒い瞳が大きく揺れる。


本当なんだなって本能で思った。
私はスカートの裾をぎゅう、と強く握りしめる。



「女の子も、苦手だって聞いたことがあって……」


「………」


「だけど、好きな人はいるんだよね。
……だから、ね、私、やめようと思ったの。好き、をやめたいって…………だけど、ね、やっぱり無理で、やっぱり、私朔くん好きで、……ふぇ、あ、諦められなくて、朔くんの恋応援したいのに……無理で……ごめんなさい……っ、さ、朔くんが好き、でごめんなさい……っっ」



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