ハイドランジア
こんなふうに伝えるつもりじゃなかった。
徹夜で考えた台詞、かけ離れすぎ。台無し。
ちゃんと目を見て、伝えて、終わりたかったのに。
それなのにみっともないくらい涙がぼたぼたこぼれ落ちて……
言ってることも今の状況も本当に、本当に最悪。
自分ではもう涙の制御はできなくてあふれ出るばかりだけど、もうこれ以上朔くんを困らせたくなくて、
勢いのまま、口走ってた。
「………でも、もう、やめるからっ…!」
口にした瞬間、苦しくて、しんどくて、もうだめだと思った。
心がしんじゃうかと思った。
傘のハンドルを朔くんの手に乱暴に預けて、私はその場から飛び出した。
だけど、
「…………っ、やめんなよ……!!」