ハイドランジア


ぐらん、と目眩がした。


自惚れてもいいの?


信じられない出来事に
涙はまだひっこまない。






「──吉岡」




鼓膜が震えた。
朔くんが、私の名前を呼んだから。

目頭がもっと熱くなる。


私の名前、知ってたんだ。




「俺、おまえに嘘ついた」

「嘘……?」




朔くんがゆっくり顔を上げた。

身軽になった左肩はまだじんわり熱を帯びてる。



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