ハイドランジア
瀬戸口 朔くん。
クラス替えした一番最初、席が隣同士だった。
教科書の見せ合いも
何気ない会話を交わすことも
落としたものを拾い合うことさえ無かったけれど、
あの日、私は、確かに彼を。
『………っ、…』
その日は生理二日目で、朝から体調が最悪な日だった。
1、2限目はなんとか耐えしのいだ。
だけど3限目の授業、化学の時間。
突然、下のお腹に刺すような痛みが走った。
周囲にばれない程度にうずくまる。
冷や汗が止まらなくて抜け出そうかと思ったけれど、生憎私は一番うしろの窓側の席。途中で抜けて注目を集めるようなこと、私には出来なかった。
『(っ……)』
鋭い痛みがまもなく限界に変わったとき。