花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
うーんと頭を悩ませていると授業の始まりを告げるチャイムがなった。
「えーもうこんな時間かあ」
唯がぶつくさと文句を言いながら席につく。

唯はよく「めんどくさい」と言うけれど私はそこまで授業は嫌いじゃない。先生の話をただ聞いているだけで時間は過ぎていくし座っているだけでいいのだから。
でもたまに先生の仮面が怒りに染まっていたり不満を表している時は少し苦手だ。
それと授業が刻々と進んでいき放課後に進んでいく時間も、苦手だ。

またあの家に戻るのかと憂鬱な気持ちが増えていくから。

聞きたくもない騒音が耳をつんざいて、怒鳴り声が家に響く。その声を聞く度にどんどん脈は速くなって聞こえないようにしてもかすかな声でさえ聞き取ってしまう聴力を恨む。
目を開ければ目の前には2つの仮面が怒鳴り散らかしているんだ。

そんな、そんな地獄みたいな場所。
だから私は仮面を被る。誰かが怒らないように。泣かないように。
自分の家のようにはならないように…学校という場所でそんな風景は見たくないから。

そんな事を頭の片隅で考えていると時間は過ぎていきまたいつものように放課後を迎えた。

「ごめん!今日も部活あるから一緒に帰れないの、想乃と帰りたいよお」
「大丈夫だよ。大会も終われば一緒に帰れるでしょ?それまで頑張ってね」

唯は間近にバスケの大会を控えてるため最近は遅くまで部活動があるのだ。私はやりたい事も特になかったから部活にははいっていない。
一緒に帰る時間が合わないのも無理はない。

ほんの少しだけ寂しさを感じながら私は学校をあとにした。
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