花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
とは言ってもいつもすぐには帰らない。
少しでも帰る時間を遅らせたくて回り道を探したりいつもは通らない道を歩いたりしている。

今日はどこに行こうかなあとぼんやり考えていると少し遠くに公園が見える。
たまにはいいかもしれない。そう思い公園へと進んでいく。

｢みゃあー｣

ふと声が聞こえた方を見ると猫がいる。野良猫だろうか？それにしては毛並みが整えられていて綺麗な白猫だ。

触ってみようと頭に手を近づけるとシャァーと威嚇されてしまう。

「……にゃー」
なにかの雑誌で見たことがある。目線を合わせてあげるといいのだとか。猫から見たら人間なんて巨人のようなものだし案外効果的ではないのかと思っている。

出来るだけ小さめにしゃがんで猫の鳴き声を真似てみる。
「おいでー、怖くないよ」
小声で話しかけてみるも威嚇の姿勢をなくさない猫を
見ているとあまり効果は得られてなさそうだ。
実は前にも一度やったことがある。けれどもその時も猫に逃げられて終わってしまった。
雑誌に書いていることはやっぱり嘘だったのかもしれない。

「はぁ…」とため息をついて立ち上がろうとしたその瞬間後ろにあるなにかにぶつかる。

「お」
「…ぁえっ、うわ！」
誰かの声が聞こえた気がする。ぶつかった瞬間にバランスを崩してよろけそうになり咄嗟に目を瞑ってしまう。数秒後なぜか衝撃がこない事に気付く。

何かに支えられていることに気付き慌てて後ろを振り向くと私の肩をもって「あぶね」と声を漏らす彗がいた。
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