花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
「なっ…」
何でこんなところに彼が?!と言うより先に自分の体温が上昇していくのが分かる。
体がいつもより密着しているせいで思ったより背が高かったりだとか手が大きいことに気付く。

何を考えているんだ私は…と平常心を取り戻しながらすぐに彗の手を私の肩から剥がす。
「な、何で彗がここにいるの?」
バスケ部の大会は確か男子もあったはずだったが…。
彼は私を少しだけ見つめてから何を思ったのかふっと鼻で笑ってから「にゃー」と言ってきた。

「…は?」
「ノノ、おいで。どこに行ったかと思っただろ」

にゃーこ?今この人は猫の鳴き声をしたかと思いきやすぐに近くにいた先程の猫を手招きしている。
私へのさっきの態度とか大違いなように彼の元へと"ノノ"は擦り寄っていく。

「このお姉さんが猫の鳴き真似までしたのに威嚇するなんてひどいな、お前」

びよーんと伸びる猫を持ち上げて話しかける彗の言葉に一気に顔が赤くなる。

「なっ…な、もしかしてさっきの…」
「うん?」
「聞いてたの?!」

何事かと首をかしげる彼になんてひどい人なんだと心底思う。すごく恥ずかしい。
「一人で猫に話しかけてる変な人」というレッテルを貼られてしまう。挙句の果てには相手にもされていないというのに…。

うぅと顔を隠して嘆いている私を見て彗は「まぁまぁ」と適当に(たしな)めてくるときた。

「まぁまぁ…じゃなくて!何で!貴方がここにいるの?!」

重要なことは何一つ言ってくれない彼に堪忍袋の緒がきれてつい大きな声をだしてしまう。
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