花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
「遅かったな」
ドアを開けると彗はもう既にベッドに腰を掛けてのんびりしているようだった。部屋はシンプルで本棚以外にはほぼ何も置いていない。近くにある目立つものと言えばキャットタワーくらいだ。
そんな事を考えているとフワフワしたものがすぐに足元をかすめる。そこには手足が短めのミルクティーがかった色をしてる猫がいた。マンチカンだろうか。
毛が少し長くてクリクリとした目がたまらなくかわいい。
「かっ…かわいい!」
私が来ても逃げることはなくどちらかと言えば懐いてくれているかのようだ。
「この子人懐っこいね」
「ん、プリンって名前。女の子だよ、こん中なら一番人馴れしてるかもな」
「プリンちゃんかぁ、かわいいね」
そんな事を喋りながら彗は膝に先程の猫"ノノ"をのせて撫でている。
「あれ…もう一匹は?」
確かさっき3匹飼っていると言っていた気がするけれど。そういえば部屋のどこにも見当たらない。
「あぁ、ここ」
そう言って布団をペラっとめくるとそこにはグレーがかったハチワレ模様を浮かべる猫がでてきた。瞳は綺麗なブルーをしていて猫種はラグドールだろう。
「わぁかわいい!彗も猫好きなの?」
「まぁな。昔から飼ってるんだよ」
そう言ってノノを撫で続ける彼は少し穏やかな表情をしていて昔を懐かしむようだ。
昔は…お母さんとお父さんと一緒にいたのだろうか。
今はおばあちゃんと二人で暮らしているように見えるが何かあったのだろうか。
疑問が浮かぶがどうにも聞く気にはなれない。言いたくない事かもしれない。
こんなとき、仮面の表情が見えれば相手の気持ちが分かるのになぁとつくづく思う。
ちらりと頭の上を見る。ずっと無表情の彗の仮面。
何度か見ていくうちに違和感が拭えなくなっていく。
固く閉ざされた仮面は別物のようで、他の人についているものとは違うものに見えるのだ。何故だろう。
「なに見てんの?」
ふと声をかけられ意識が仮面に集中していた事に気付く。
「いや、何も見てないよ」
咄嗟に何も言葉がでてこない自分を心底恨む。
そんな私にはぁとため息をつかれる。保健室の時にも同じようなことがあった気がする。
「…まぁいいや。こっちも触る?あんこって名前」
そうして抱き上げられたのは先程布団にくるまっていた猫だ。あんこ。何だかプリンとかあんことか食べ物の名前なのがかわいいなとつい思う。
私の元へと彗はあんこを持ってきてくれる。
「みゃぁ」
「ぅ…かわいすぎる」
小さな声で鳴くあんこは綺麗な毛並みで思っていたよりも重みがあって愛情が注がれていることが分かる。
「ふっ…さっきみたいにしないの?にゃーって」
「ちょっ!思い出さなくていいから、忘れて」
もう忘れている頃かと思っていたのに記憶力が良いらしい。そういえば彗が頭が良いのを忘れていた。
そんな馬鹿らしい会話を挟みながら他愛もない話をしているとつい笑みが込み上げてくる。保健室の時も思ったけれど彗は思っているよりノリが良いのだ。
そんな時私のスマートフォンがブーブーと震える。
ドアを開けると彗はもう既にベッドに腰を掛けてのんびりしているようだった。部屋はシンプルで本棚以外にはほぼ何も置いていない。近くにある目立つものと言えばキャットタワーくらいだ。
そんな事を考えているとフワフワしたものがすぐに足元をかすめる。そこには手足が短めのミルクティーがかった色をしてる猫がいた。マンチカンだろうか。
毛が少し長くてクリクリとした目がたまらなくかわいい。
「かっ…かわいい!」
私が来ても逃げることはなくどちらかと言えば懐いてくれているかのようだ。
「この子人懐っこいね」
「ん、プリンって名前。女の子だよ、こん中なら一番人馴れしてるかもな」
「プリンちゃんかぁ、かわいいね」
そんな事を喋りながら彗は膝に先程の猫"ノノ"をのせて撫でている。
「あれ…もう一匹は?」
確かさっき3匹飼っていると言っていた気がするけれど。そういえば部屋のどこにも見当たらない。
「あぁ、ここ」
そう言って布団をペラっとめくるとそこにはグレーがかったハチワレ模様を浮かべる猫がでてきた。瞳は綺麗なブルーをしていて猫種はラグドールだろう。
「わぁかわいい!彗も猫好きなの?」
「まぁな。昔から飼ってるんだよ」
そう言ってノノを撫で続ける彼は少し穏やかな表情をしていて昔を懐かしむようだ。
昔は…お母さんとお父さんと一緒にいたのだろうか。
今はおばあちゃんと二人で暮らしているように見えるが何かあったのだろうか。
疑問が浮かぶがどうにも聞く気にはなれない。言いたくない事かもしれない。
こんなとき、仮面の表情が見えれば相手の気持ちが分かるのになぁとつくづく思う。
ちらりと頭の上を見る。ずっと無表情の彗の仮面。
何度か見ていくうちに違和感が拭えなくなっていく。
固く閉ざされた仮面は別物のようで、他の人についているものとは違うものに見えるのだ。何故だろう。
「なに見てんの?」
ふと声をかけられ意識が仮面に集中していた事に気付く。
「いや、何も見てないよ」
咄嗟に何も言葉がでてこない自分を心底恨む。
そんな私にはぁとため息をつかれる。保健室の時にも同じようなことがあった気がする。
「…まぁいいや。こっちも触る?あんこって名前」
そうして抱き上げられたのは先程布団にくるまっていた猫だ。あんこ。何だかプリンとかあんことか食べ物の名前なのがかわいいなとつい思う。
私の元へと彗はあんこを持ってきてくれる。
「みゃぁ」
「ぅ…かわいすぎる」
小さな声で鳴くあんこは綺麗な毛並みで思っていたよりも重みがあって愛情が注がれていることが分かる。
「ふっ…さっきみたいにしないの?にゃーって」
「ちょっ!思い出さなくていいから、忘れて」
もう忘れている頃かと思っていたのに記憶力が良いらしい。そういえば彗が頭が良いのを忘れていた。
そんな馬鹿らしい会話を挟みながら他愛もない話をしているとつい笑みが込み上げてくる。保健室の時も思ったけれど彗は思っているよりノリが良いのだ。
そんな時私のスマートフォンがブーブーと震える。