花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
「なんで今日は一緒じゃないの?」
「え?あぁ、唯バスケ部の朝練あるみたいで…」
「あー女子はあるのか、大変だな。明日も?」
彼の口ぶりからすると男子はないのだろうか。

なぜそんな事を聞くのか一瞬考えたがすぐにただの話題探しだろうと思い「多分あるんじゃないかな」と返す。

彗は一瞬何かを考えたあとに軽く口を開いた。
「なら一緒に学校行く?」
「…え!」
まさか彗からそんな言葉が出てくると思っていなくてつい驚いてしまう。でも案外いいかもしれないと思ってしまった。
この暑さのなか一人で歩くのは億劫だし朝はどうしても家の余韻もあるのか少し憂鬱になってしまう。

「彗が…いいなら、行きたいかな」
咄嗟に言葉を返すが何だかこれでは私が積極的に誘ってるみたいな言い方な気がする。自分の言葉を繰り返すと猛烈に恥ずかしさが襲いかかってくる。

暑いのにまた顔が火照ってきそうになるのを抑えていると彗は平然としながら「じゃあ交換しよ」と何やら鞄からなにかを取り出している。

「はい、時間とかこれならすぐ分かるだろ」
そう言って目の前にだされたものは彼のスマホのメール画面だった。
そういえば彼とはメールの交換はしていなかった。基本クラスの人とは繋がっているけれど、彗とは関わりたくなくて私からは極力話しかけないようにしていたし。

折角の機会だしと思い少し気恥ずかしくありつつも私もスマホを取りだしてメールを交換した。
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