花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
「あﾞぁーーー！！うざい…」
朝から大きな声を上げて、ドスドスと音をたてながらお母さんがリビングに起きてくる。
隣にいるお父さんを見上げると、仮面は徐々にどす黒い色になっていき怒りを表していた。

「朝からうるさいんだよ！少しは静かにできないのか」
「はぁﾞ？！！そもそも昨日のはお前が悪いん…」

うるさくて仕方がない。朝から耳を劈(つんざ)くような音を聞かされるこっちの身にもなってほしい。胸がざわざわとしてまたぎゅっと痛くなる。
そんな感情を表に出さないように、私はその場からすぐ立ち去ろうと自分の部屋へと戻ろうとする。
そんな時に誰かから腕を思いっきり引っ張られる。

「アンタもねぇ！！そうやってすぐ逃げようとするんだよ…！アンタも私のことうるさいって思ってんだろ！！」

先程よりも近い距離で叫ばれて耳がジンジンと痛くなるのを感じる。

「ごめんなさい。私明日修学旅行だから、準備しないといけないんだ」

できるだけ感情はださないように。怒らないように。泣かないように。何も…何もださないように。
こういう時はとにかく過ぎ去るのを待つんだ。強く握られた腕の痛みを感じないように。

「はっ…アンタなんてそのまま一生家に帰ってこなくていいよ！」

ぱしんと握られていた腕は跳ね除けられて罵声を浴びせられる。けれどそんな事はどうでもよかった。
もう考えても無駄なことなのだから。この時間が、早く終わりさえすればなんでもいいから。

お父さんからもらったお金を握りしめて私は自分の部屋へと再び戻っていった。
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