花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
一限目は体育だ。
「想乃、着替え行こー」
「うん」
いつものように唯と一緒に体育館へ向かう途中、女子たちの「今日バスケだって」という声が聞こえてきた。
そういえば先週先生がバスケットボールをすると言っていた気がする。正直バスケは苦手だ。運動全般がそもそも得意ではないけれど、特に球技は苦手で少し憂鬱な気分になる。

「今日バスケだねー!楽しみ!!」
一方、唯はバスケ部ということもあってか張り切っているみたいだ。そんな彼女の声を聞きながら、ふとあることを思い出す。

「そういえば星崎くんもバスケ部だよね」
「うん!そうだよ。たまに体育館が被ると、彗くんのバスケ姿が見られるの」

唯が星崎くんの話をよくするからついその話題に触れてしまった。バスケ…彼が真剣に取り組んでいる姿はあまり想像ができない。普段の彼が無気力に過ごしているからか、どうにも何かに真剣に取り組むという姿がパッと思い浮かばないのだ。
まあ、これからも見る機会はないだろうけど…そう考えていると体育館に着いた。
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