花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
涙を流す彼女にどんな言葉をかければいいだろうか。言葉を選びながら、私は彼女の目を真っ直ぐ見つめた。

「これからはちゃんと向き合いたい。私は、もう取り繕ったりしない。仲良くできるかは分かんないけど…!」

莉桜は涙を拭いながら、私の言葉に耳を傾けていた。彼女の表情はまだ険しかったけれどその瞳には少しだけ戸惑いと疑いが見えた。

「なんで、わざわざそんなこと…」

彼女の声は震えていた。恐れと期待が混じったその問いかけに、私は少し考えたあとに答えた。

「怖かったけど、私が変わるきっかけをくれたのは…紛れもなく莉桜だから」

莉桜はしばらくの間、何も言わずに立ち尽くしていた。でも、その瞳の奥には少しだけ柔らかさが戻っている気がする。

「…ばかじゃん」
私の言葉に彼女は小さく笑った。

「ふふ…うん、そうだね」

そう言って手を差し出すと莉桜は一瞬ためらった後で、その手を握り返してくれた。
その瞬間、私たちの間にあった冷たい壁が少しずつ溶け始めたように感じた。

「そろそろ班のみんなのところに戻ろう」

「あんたのせいで私はブッサイクなんだけどね、もう最悪…宙に見られちゃうじゃん」

莉桜の目にはまだ涙の跡が残っていたけれど、その表情には少しだけ穏やかさが込められている。
私たちはゆっくりと班のみんなのところへと戻っていった。
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