花火のように咲く、君の笑顔が見たいから

外は、さっきよりも少しだけ息ができるような気がした。けれどどこに行くかなんて決めていなくて、ただ、私はこの場所から逃げ出すように走った。
後ろから声が聞こえるような気がしたけれど、私は無心で走り続けた。

私の足音だけが響く静かな街。けれど、そんな私を嘲笑うかのように、急に冷たい雨がぽつぽつと降り出す。

「うそ…」

次第に雨は強くなり、ざばざばと容赦なく降り注ぐ。服も髪も一瞬でびしょ濡れになり、身体の芯まで冷えるような気分だった。
それでも私は立ち止まらず、走り続けた。頭の中はぐちゃぐちゃで、もう何も考えられなくて。

公園にたどり着いた頃には、もう全身が雨に打たれ、心も体も限界だった。誰もいない小さなベンチに座り込むと雨に紛れて、声にならない嗚咽とともに涙が溢れ出した。

「っうぅ…あぁ…」

冷たい雨とは反対に、こぼれ落ちる涙は暖かった。
私の生きている証拠だと言われているようで、余計に苦しくなる。
本音を伝えればきっと学校の時みたいに、変われるって信じていた。酷いことを言われてもどこかでは私の事を愛してくれてるんじゃないかって勝手に期待していた。

そんな自分がばかばかしくて、惨めで、どうしようもなく辛くなった。

声に出しても誰にも聞こえない私の言葉。雨の音が全てをかき消していく。泣きじゃくる私の嗚咽も、苦しみも、雨が全てを覆い隠していくかのようだった。