花火のように咲く、君の笑顔が見たいから
「私…どうにかしたいんだ」
意を決して口を開いた。唯がこちらをじっと見つめる。

「お節介かもしれないけど、私は彗を…ううん、二人にまた仲良くなってほしい」

その瞬間、自分が言いかけた「彗を助けたい」という言葉を飲み込んだ。そのためにはまず二人の溝を取り戻さないと…きっと、彗にとって宙くんは大切な友達だ。そう信じている。
これは私の自己満足なのかもしれない。でもそれでも構わなかった。
彗のことが知りたい。彼の苦しみを知って助けたいと思う気持ちは消えなかった。

「唯、どうすればいいと思う?」
気づけば、私は率直にそう問いかけていた。

唯は少し驚いた顔をしていたけれど、すぐにいつもの柔らかい表情に戻って、私を見つめた。

「そっか。なら……ぶつけちゃいなよ!!」
「…え?」
唯の張り切った声についきょとんと目を丸くしてしまう。けれど唯の表情は思っていたよりも真剣で優しい顔をしていた。

「なんでもね、ぶつけるんだよ。人と人は上手くいかないことも沢山あって…でもそんなの言わないと分かんないじゃん」

その言葉にハッとする。

『 私は、莉桜のことも宙くんのことも…皆のことなにも知らない』

『───そんなん俺も分かんねーよ』
『人の気持ちなんて分かんないだろ』

修学旅行の夜に星空を見ながら彗と交わした会話。そっか、そうだよね。
なんで気付かなかったのだろうか。結局は分からない、話してみないと、ぶつけてみないと…分からないんだ。忘れてしまっていた。
私の最初の一歩。莉桜との会話の時だってそうだった。私達はぶつかりあった。
でも、それは悪いことだったの?違う。

今の宙くんと彗もぶつかってるんだ。それなら私も…ぶつかればいい。あんな仮面ぶつかって壊せばいい。
彗がつけてる"変わらない仮面"が君にどんな想いをさせているのか私には分からない。
でもきっと、君が抱えているものはそこにあるはずだから。宙くんにすら言えない辛くて、苦しいなにかが…あると思うから。
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