花火のように咲く、君の笑顔が見たいから

︎︎⟡隠した想い

『─────おかぁさん…お腹減ったよ──」

『っうるさい…!静かにして』

なんでお母さんはいつも僕に酷いことをするの?
なんでお父さんは……したの?なんで二人は…ぁ……なの?

───なんで僕は───続……の。
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「っはっ…ぁはぁ…夢……」
それは久々に見る夢だった。前にも見たことがある。幼い頃の自分が問いかけてくるんだ。決まって夢の中の言葉は霧がかかったようにぼやけている。
何を言いたいのかは…自分のことだからよく分かっているけれど。

想乃の家に行ったときにふとあの頃のことを思い出してしまったしまったからだろうか。彼女は一体どんな思いをして生きてきただろうか。あの涙を流す姿を思い出すと、胸が締め付けられそうになる。

「はぁ…くそっ、また俺は…」
最近はふとした時に想乃のことを考えてしまっているらしい。彼女はもう家でのことも解決した。
俺がすることなんて何もない。もう関係ない。
これ以上関わったら、彼女を傷つけてしまうかもしれないから。

『お前は、想乃ちゃんのこと好きなんじゃないのかよ…!?』

昨日宙に言われた言葉が頭を殴ってくる。俺は…。
──"好きなんかじゃない"。
彼女を幸せにはできない。仮に想乃が俺を好いてくれても付き合う気なんてないんだ。

それなのになんで俺は…宙に突っかかってんだよ。
想乃は前よりか少し明るくなって。宙にも笑顔を向けて。どんな会話をしているのかは聞こえなかった。
でも…幸せそうな表情をしていたことだけは分かる。
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