ひとりステージ
授業が終わって、わたしだけ先生に呼ばれた。
イスに座る先生と、先生のそばに立つわたし。
「人前に出るのが苦手な子はいっぱいいますが……」
先生は、あからさまにため息をついた。
そして、わたしから目をそらすように頭を抱えた。
「みんな慣れていくんですよね。なのに、鵜飼さんは……。ごめんなさい。これ以上は失言ですね」
「いえ……」
先生に申し訳なくて、わたしは教壇に視線を落とした。
教壇には、わたしの名前が書かれた暗記テストの成績表が置いてあって、三つのペケマークがついている。
「鵜飼さんだけここまで変わらないとなると、個人的にレッスンをつけたほうがいいかもしれません」
「ごめんなさい……」
目頭が熱くなって、スカートをぎゅっとにぎりしめる。
泣いちゃダメ。できないわたしが悪いんだから……。