ひとりステージ
みんなで歩いていると、ふいに吏くんが立ち止まった。
自動的にわたしたちも足を止めざるを得なくて。
あれと言って、吏くんがにらみつける先には、人だかりができていた。
そのほとんどが女子生徒。派手な身なりをしている子が多いようすから察するに、たぶん、歌劇部の集団だ。
勇劇部が唯一の男子限定の演劇部なら、歌劇部は女子限定の演劇部。
人数が多くて、勇劇部に負けない知名度を誇っている。
「歌劇部だ」
わたしが気づくのとほぼ同じタイミングで、鴻上くんがつぶやいた。
「は? 歌劇部? うわ、最悪」
歌劇部とわかった瞬間に吏くんが顔をしかめた。
「あの中心にいるの、鳰先輩じゃない?」
鳴海くんが指さす先を目で追うと、人だかりの真ん中に頭ひとつ飛び出た男子がいて、よく見ると、青髪に黒ぶちメガネの鳰先輩だ。
中心にいるっていうか、あれ、囲まれてるんじゃ……。
「あっ、みんな!」
鳰先輩がこっちに気づいて、手を挙げた。
すると、女子たちの目が一斉にこっちを向いて──。
「キャ────!」
割れんばかりの黄色い叫び声がとどろいた。
わ、忘れてた……。鴻上くんたち四人の人気は、アイドルのそれと変わらないんだった。
自動的にわたしたちも足を止めざるを得なくて。
あれと言って、吏くんがにらみつける先には、人だかりができていた。
そのほとんどが女子生徒。派手な身なりをしている子が多いようすから察するに、たぶん、歌劇部の集団だ。
勇劇部が唯一の男子限定の演劇部なら、歌劇部は女子限定の演劇部。
人数が多くて、勇劇部に負けない知名度を誇っている。
「歌劇部だ」
わたしが気づくのとほぼ同じタイミングで、鴻上くんがつぶやいた。
「は? 歌劇部? うわ、最悪」
歌劇部とわかった瞬間に吏くんが顔をしかめた。
「あの中心にいるの、鳰先輩じゃない?」
鳴海くんが指さす先を目で追うと、人だかりの真ん中に頭ひとつ飛び出た男子がいて、よく見ると、青髪に黒ぶちメガネの鳰先輩だ。
中心にいるっていうか、あれ、囲まれてるんじゃ……。
「あっ、みんな!」
鳰先輩がこっちに気づいて、手を挙げた。
すると、女子たちの目が一斉にこっちを向いて──。
「キャ────!」
割れんばかりの黄色い叫び声がとどろいた。
わ、忘れてた……。鴻上くんたち四人の人気は、アイドルのそれと変わらないんだった。