ひとりステージ
勇劇部とのはじまり

ここは、西東京芸術(にしとうきょうげいじゅつ)中学校。
芸術科目に特化していて、全国的に知られている有名な学校なんだ。

なにが有名って、芸術に特化していると言うだけあって、授業が特殊。
午前中は国語や数学といったふつうの教科を学ぶんだけど、午後がまるまる芸術の授業になっているんだ。

コースは全部で四つあって──。

イラストレーターをめざしたい人は、美術コース。
ミュージシャンをめざしたい人は、音楽コース。
ライターをめざしたい人は、文芸コース。
役者をめざしたい人は、演劇コース。

つまり、芸術の授業というのは、選択したコースによって、美術、音楽、文芸、演劇を学ぶということ。

ちなみにわたし、鵜飼咲花は、演劇コースを取っていて。
演劇の授業は、演劇の歴史を学んだり、古典作品を視聴したり、実際に演技をしたりする。

どうして演劇コースに入ったかというと、役者になるのが小さい頃からの夢だから。

昔、近所に子役として活躍する幼なじみの男の子がいて、よくその子の練習相手になっていた。
その子のお芝居は、とても演技とは思えないくらいイキイキしていて、いっしょに練習するうちに、お芝居の楽しさを知った。

わたしもいつか、その子みたいになりたい。
そうして、西東京芸術学校の演劇コースに入学した。

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