ひとりステージ
「たぶん、やり方がまちがってるんだよ。咲也には咲也に合ったやり方があって、それがうまくハマれば、すげぇ化けるはず」

わたしに合った、やり方……?

「そんなのがあるんですか?」
「これから、そのやり方を考えていくんだろ。どっちにしろ、ひとりでやるよりだれかとやるほうが、ぜったいにいいから。周りを頼れよ」

吏くんの言葉を、頭の中で反すうする。

〝どっちにしろ、ひとりでやるよりだれかとやるほうが、ぜったいにいいから〟

ひとりでやれる人はすごいと思う。

けれど、ひとりでやるには限界があって。
ひとりでやれるようになるために、だれかに頼らないといけないときがくる。

わたしの場合、きっとそれが今なんだ。けど……。

「頼っていいんですかね? 迷惑じゃないかな……」
「迷惑なもんか。仲間なんだから」

吏くんが、わたしの頭をぽんぽんとなでた。

荒々しい吏くんとは思えない行動にびっくり。
と同時に、そんな吏くんから「仲間」の言葉が出てきて、目頭が熱くなった。

吏くん、わたしを仲間と思ってくれてるんだ……。

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