シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
「もしもし、颯⽃さん?」
「なんだ、めずらしいな。なにかあったか?」
初めての⼀花からの電話だった上、その硬い声になにか感じたようで、颯⽃が尋ねてきた。
⼀呼吸置いてから、⼀花は話し出す。
「嫌がらせしている相⼿って、綾部物産に関係ある⽅ですか?」
「なぜそれを? なにかされたのか!?」
鋭い声になった颯⽃が彼⼥の⼼配をしてくれる。
正解だったと知って、⼀花はわなわなと震えた。
こんなに腹を⽴てたのは久しぶりだ。
「取引先から切られました。綾部物産の意向だということで」
「なんだって? くそっ! 申し訳ない。……俺たち、少し距離を置いたほうがいいかもな」
颯⽃も⼀緒になって怒った上に謝ってくれて、⼀花は落ち着いてくる。
距離を置くもなにも、このところ会ってもいないし、もともと距離は遠いわとおかしくなる。
恋⼈のふりをやめようということだと思うが、⼀花は逆のことを提案した。
「いいえ。むしろ、もっとイチャイチャしましょう。近いうちにその⽅の出席するパーティーなんてないですか? ⾒せつけて煽って、ボロを出させてやりましょう!」
なんなら直接⽂句を⾔ってやりたかった。
そんなことをしても颯⽃の⼼は⼿に⼊らないと。
それほどまでに⼀花は嫌がらせ犯に憤っていた。
「ハ、ハハハッ」
⼀花は真剣に⾔ったのに、颯⽃はおかしそうに笑い始めた。
⽿もとを軽やかな声がくすぐる。
「君はやっぱりおもしろいな」
笑いを含んだ声で⾔われて、⼀花はふくれる。
彼⼥は本気で怒っているのだ。
「おもしろくなんかありません! それよりどうなんですか? パーティーはあるんですか!?」
「あぁ、ある。ちょうどおあつらえ向きのパーティーが来週にな。取引先の創業記念パーティーだが、うちのホテルでやるからいろいろ融通も利くし、もとから俺は出席予定だ」
「いいですね。そこに乗り込みましょう!」
嫌がらせをしているのは、綾部物産の社⻑令嬢ではないかと颯⽃は考えていたが、今までは明確な証拠がなかったそうだ。
しかし、今回、綾部物産からの指⽰があったことで、その線は濃厚になった。
来週のパーティーは綾部物産とも取引のあるいずみ産業創業三⼗周年記念パーティーだから、その令嬢も来るはずだという。颯⽃の出席するパーティーは把握されているようだから、そういう意味でも必ず来るだろう。
⼀花と颯⽃は詳細を打ち合わせして、そのパーティーに臨むことにする。
数々の嫌がらせに加え、とうとう仕事にまで影響が及んで、⼀花はうんざりしていた。
(もう終わらせたいわ!)
それは颯⽃との恋⼈のふりを終了することでもある。
⼀気になにもかも終わらせたいと願う⼀花だった。
「なんだ、めずらしいな。なにかあったか?」
初めての⼀花からの電話だった上、その硬い声になにか感じたようで、颯⽃が尋ねてきた。
⼀呼吸置いてから、⼀花は話し出す。
「嫌がらせしている相⼿って、綾部物産に関係ある⽅ですか?」
「なぜそれを? なにかされたのか!?」
鋭い声になった颯⽃が彼⼥の⼼配をしてくれる。
正解だったと知って、⼀花はわなわなと震えた。
こんなに腹を⽴てたのは久しぶりだ。
「取引先から切られました。綾部物産の意向だということで」
「なんだって? くそっ! 申し訳ない。……俺たち、少し距離を置いたほうがいいかもな」
颯⽃も⼀緒になって怒った上に謝ってくれて、⼀花は落ち着いてくる。
距離を置くもなにも、このところ会ってもいないし、もともと距離は遠いわとおかしくなる。
恋⼈のふりをやめようということだと思うが、⼀花は逆のことを提案した。
「いいえ。むしろ、もっとイチャイチャしましょう。近いうちにその⽅の出席するパーティーなんてないですか? ⾒せつけて煽って、ボロを出させてやりましょう!」
なんなら直接⽂句を⾔ってやりたかった。
そんなことをしても颯⽃の⼼は⼿に⼊らないと。
それほどまでに⼀花は嫌がらせ犯に憤っていた。
「ハ、ハハハッ」
⼀花は真剣に⾔ったのに、颯⽃はおかしそうに笑い始めた。
⽿もとを軽やかな声がくすぐる。
「君はやっぱりおもしろいな」
笑いを含んだ声で⾔われて、⼀花はふくれる。
彼⼥は本気で怒っているのだ。
「おもしろくなんかありません! それよりどうなんですか? パーティーはあるんですか!?」
「あぁ、ある。ちょうどおあつらえ向きのパーティーが来週にな。取引先の創業記念パーティーだが、うちのホテルでやるからいろいろ融通も利くし、もとから俺は出席予定だ」
「いいですね。そこに乗り込みましょう!」
嫌がらせをしているのは、綾部物産の社⻑令嬢ではないかと颯⽃は考えていたが、今までは明確な証拠がなかったそうだ。
しかし、今回、綾部物産からの指⽰があったことで、その線は濃厚になった。
来週のパーティーは綾部物産とも取引のあるいずみ産業創業三⼗周年記念パーティーだから、その令嬢も来るはずだという。颯⽃の出席するパーティーは把握されているようだから、そういう意味でも必ず来るだろう。
⼀花と颯⽃は詳細を打ち合わせして、そのパーティーに臨むことにする。
数々の嫌がらせに加え、とうとう仕事にまで影響が及んで、⼀花はうんざりしていた。
(もう終わらせたいわ!)
それは颯⽃との恋⼈のふりを終了することでもある。
⼀気になにもかも終わらせたいと願う⼀花だった。