シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
 彼⼥にキスしかけて、思いとどまったように、額に唇を落とした颯⽃は⾔った。

「家に⼊れてくれないか? あぁ、出かけるところだったか?」
「いいえ、気分転換に出かけようとしてただけです」

 閉めたカギをまた開けて、颯⽃を中に通す。
 ⾃分の家に彼がいるのが不思議な気分だった。
 しかも、まだドキドキしていて、落ち着かない。

(颯⽃さんが私のことを好きだったなんて!)

 あの⽢さは偽りのものではなく、本物だったんだと思うと、⼼が幸せに満たされた。
 うれしくてジタバタしたいような気分だ。
 ⼼の中で⾒悶えながら⼀花ははたと⽴ち⽌まった。
 彼をどこに案内しようかとためらったのだ。
 装花⽤の花で埋まっている居間を⾒せて⾔う。

「颯⽃さん、すみません。居間はこんな状態なので、座ってもらえるところが寝室しかなくて」
「俺はかまわないが。……絶対に他の男を家に⼊れるなよ?」

 ⼝端を上げた颯⽃だったが、直後に慌てて⼀花に注意してきた。

「⼊れませんよ。そもそもお客さんを呼ぶという考えがなかったんです」

 寝室のドアを開けながら、⼀花は弁解した。
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