シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました

もっと触れたい・・・

 でも、彼は唇だけには触れてくれず、⼀花はもっと彼を感じたくなってしまう。

(キスしたい)

「颯⽃さん……」

 潤んだ瞳で彼を⾒上げ、キスをせがむように唇を開いた。
 それに対し颯⽃は、⽢い瞳で何度もふれるだけのキスをくれる。
 でも、それでは⼀花は物⾜りなさを感じた。

(もっと近づきたい。もっと溶け合いたい。あのときみたいに)

 次のキスで⼀花が唇を押しつけると、ようやく⾆が⼊ってきて、深いキスになる。
 絡めあった⾆が気持ちよくて、⼀花は彼の服をギュッと掴み、離れたくないと思う。
 もっともっととせがんでしまう。

「颯⽃さん、私をもっと夢中にさせて。理性が崩れるくらいに。そうすれば……」

 そうなったら、うなずけるかもしれないと⼀花は思った。
 本当は彼⼥もプロポーズを受けたい気持ちになっていたのだ。でも、なにかがそれの邪魔をする。
 それを取り払ってほしかった。

「⼀花、愛してる」

 颯⽃は⼝づけながら、彼⼥の髪に触れ、背中をなでおろし、柔らかな曲線を辿った。
 ジーンズの上からさわられるともどかしくて、⼀花は⾝をよじる。
 いったん⼝を離した颯⽃は⼀花の⽬を覗き込む。

「いいか?」

 かすれた声で聞いてくる。
 その彼⼥を切望するようなまなざしに、⼀花の胸は震えた。
 ⼩さくうなずくと、すぐさま抱き上げられ、横のベッドに降ろされた。
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