シャンパンをかけられたら、御曹司の溺愛がはじまりました
「まぁ、⼀花さんは優しいわね。二人がうまくいって、私は本当にうれしいの。最初から二人はお似合いだと思ってたのよね。見守っていた甲斐があったわ」
「母さんのは見守るじゃなくて、のぞきに近いだろ」
「まぁ、失礼ね!」

 颯斗が揶揄して、貴和子が頬を膨らませる。
 本当に少女みたいな人だと微笑ましく一花が見ていたら、貴和子が改まって言った。

「一花さん、これから颯⽃をよろしくお願いします」
「はい。こちらこそ、ふつつかですがよろしくお願いいたします」
「ついでにお仕事を続けるなら、うちの装花もまたお願いしてもいいのよね?」
「はい、喜んで!」

 こんなふうにあっさりと⼀花は受け⼊れられた。
 ⼀花の両親への挨拶も、来週なにがあっても⾏くと颯⽃が息巻いている。
 気の早い颯⽃はここに来る⾞の中でも「住むなら⼀軒家かマンションかどっちがいい?」と聞いてきた。
 めまぐるしさに頭がくらくらする。
 きっと⼀⽣翻弄されるのだろうと一花は覚悟した。でも、それも悪くないと思う。

(⾬降って地固まるというけど、私たちはそれに加えて、シャンパンをかけられてまとまったわね)

 彼といたら、あきない経験ができるかもしれない。
 そう考えるとおかしくなって、⼀花はくすっと笑いを漏らす。

「なんだ?」

 颯⽃が不思議そうに彼⼥を⾒た。

「ううん、ただ、幸せだなと思って」
「そうか。俺もだ」

 ⼆⼈はお互いを⾒て、満ち⾜りた笑みを浮かべるのだった。


 ―FIN―
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