情炎の花〜その瞳に囚われて〜
退院
〜玄side〜

オペが終わり病室へと移動した凪は、顔色も青白く本当に目が覚めるのか心配になった。

病室には俺と凪の二人。

他の奴等は廊下にいる。

「凪…」

なんで俺なんかの為に。

もう引き返せない。
俺は凪が欲しい。

取り上げるものばかりだとしてもそれでも俺の側にいて欲しい。

コンコンと病室のドアが鳴る。

「若。一度お帰りになりますか?」

廊下から松田が話しかけてきた。

「いや。いい」

「承知」

離れたくない。
俺がいない時に目覚めてしまわないように。
ここにいたい。

凪の手を握る。

声。かわいかった。
初めて聞いた。

俺の事はもう気付いたよな。
あんな場面に出くわしたんだから。


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